検索窓
今日:6 hit、昨日:64 hit、合計:52,575 hit

星を想うロマンチストたちよ 四 ※流血注意 ページ49

腕から血が流れ、鬼獅子はAの掴む力に驚いていた。
 おそらくその手は、引き剥がそうとしても剥がれないだろう。

「これは……確実に仕留めねばならんな」

 鬼獅子はAの胸を手で抉り、確実に心臓を握り潰した。

「かはッ」

 Aは目を見開き口から大量に吐血する。

「ッーー!!」

 道信が驚愕して声を上げようとする。
 しかしなぜか喉から何も音が出ず、こぼれた息が空を撫でた。

「ァ……」

 鬼獅子を掴んでいたAの手が力なく離れ落ち、彼女は瞳孔が開いたまま動かなくなってしまった。

 鬼獅子は息絶えたのを確認してからAを地面に放り投げて歩いていった。

「A、さんッ……」

 道信はAの元へ張っていこうとする。
 今度はしっかり声が出て、まるでさっきは誰かに意図的に声を消されていたようだった。

「ッ!」

 彼は未だ起き上がれず急に頭痛がして頭を押さえる。
 Aの方に手を伸ばすが、意識が朦朧として気を失ってしまった。

 外で豪雨の音が響く。
 銀時は万事屋の社長机の椅子に座り、頭の後ろで手を組んで窓の方を見ていた。
 ソファーに新八と神楽、沖田がいて暗い雰囲気が漂っていた。

「ゴメン銀ちゃん」
「僕らがAさんの方に加勢していれば……」

 神楽と新八は浮かない顔で言う。
 あの後、Aと道信を見つけた二人は急いで病院に運んだ。

 医者によれば道信は命に別状はないが、少し体に麻痺が残っているという。

 そしてAは、どうやら死んでいないようだった。
 星人の治癒力ゆえか、潰されたはずの心臓は形を歪めながらも脈動していて。

 だが死亡こそしていないものの、瀕死の状態で医療機器と管で何とか延命をしている状況だった。

「オメーらのせいじゃねーよ。覚悟してそっちに行ったんだろ。あいつァ、そういう奴だ」

 沖田は窓を見て表情の伺えない銀時を一瞥し、口を開いた。

「病院で目覚めた鬼道丸……道信は、自分は槍で刺されたと言っていました。けど気づけばその傷もなくなっていたらしいです」

 信じがたい話ですが、と沖田は付け加えた。
 だが代わりに、Aが彼にお守りとして渡した小刀は粉々に砕け散っていた。
 銀時は窓を見ながら、桂が以前に言っていた言葉を思い返した。

『星人の治癒力は心臓を突く致命傷でも二分で治るそうだ』

――何が二分で治るだ。治ってねーじゃねェか。

 病院で見た瀕死のAが頭に浮かんで、銀時は強く拳を握った。

星を想うロマンチストたちよ 五 終→←星を想うロマンチストたちよ 三



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (63 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
155人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 逆ハー , 原作沿い   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:刹那*桜 | 作成日時:2022年8月29日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。