中にはクーリングオフできなかったりする場合もあるから気をつけろ 四 ページ28
「その刀身に刻まれた紫の一線、ついに見つけたぞ。妖刀『星喰』……！！」
男が呟いていると神楽が彼の足を払って川に落とした。
そのまま帰ろうとするが下から男が跳び上がってきて、神楽はすぐさま走って逃げる。
町中を走り回りながら、二人は追い追われしていた。
男が追いながら叫ぶ。
どうやら岩慶丸という名らしく、武者修行をしながら最強の武器を探し求めているとか。
神楽は八百屋に突撃して強奪したスイカを投げながら無視する。
そのまま集合建築物に入っていき、岩慶丸もそれについていく。
神楽は懐に小刀をしまい、洞爺湖だけを手に持って走った。
「その木刀は妖刀『星砕』、そして小刀はあの『星喰』とみた！わしとその刀をかけて勝負せい！！」
前方からスイカが飛んできて、男は薙刀で破壊する。
「！！」
その隙に上の柱に掴まっていた神楽が降りてきて
「わたァァァ！！」
勢いよく洞爺湖で男の頭を殴りつけた。
しかし相手が命を落とさないように手加減したのか、神楽は岩慶丸に首を掴まれ後ろの手すりに背中を叩きつけられる。
「舐められたものだな。だがわしら玄武族は弾丸さえ弾く鋼の肉体を持つ。これでは勝てんよ」
岩慶丸は神楽の首を持ち上げながら、彼女に木刀と小刀を渡すように促す。
神楽は首を絞められ苦しそうにして。
――ああ……これは罰アル。人の大事なものを奪おうとしたから、神様が私をしばこうとしているヨ。
――銀ちゃんは怒るだろうけど、Aはきっと怒らないんだろうな。大丈夫だよって。
神楽はグッと洞爺湖を握る。
――大人になれ神楽！！
神楽はそのまま、建物の外に洞爺湖を落とした。
「！！貴様なんてことをっ！」
岩慶丸が慌てて落ちた方を見に行けば、下階に定春がいて見事、洞爺湖をキャッチして咥えていた。
「くっ、ならばその小刀だけでも！」
「！」
神楽は薙刀を振り下ろされてすぐに避ける。
――早くAの小刀をこの場から離さないと！
神楽はひたすら攻撃を避け続けていたが、
「ッ！！」
避けきれず薙刀が頬をかすめて少し血が流れる。
それに気を取られていて、前方から降ってくる薙刀に気付くのが遅れてしまう。
後ろが壁で避けられないと悟った神楽は、とっさにAの小刀で受け止める。
そのまま薙刀を横に流して離れるつもりだった。
しかし神楽の体はその動きをせず
――アレ？体が勝手に
薙刀を力強く小刀で押し返し払い退けた。
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作者名：刹那＊桜 | 作成日時：2022年8月29日 18時
