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泥だらけの手でも離さない 四 ページ47

「俺ァもう、負けるのは御免なんだ。あの人のあんな(つら)を見るのも御免だ」

「今度は護り通してみせる。何があっても」

 沖田は足を開いて腰を下げ刀を構えた。

「こっから先、なんびとたりとも一歩も進むことは許さねェぜ」

 真剣な眼差しで沖田は浪人たちを睨んだ。

「舐めるなァァァ!!」
「たった一人で何ができるかァァ!!」

 浪人たちが一斉に沖田に襲いかかる。

 しかし沖田は下から勢いよく斬り上げ、ドォォンと何人もの浪人を斬り飛ばした。

 血が飛び散り、打ち上げられた浪人たちの体躯が地面へと落ちる。

「ひっ、怯むなァァ!!一気にたたんでおしまい!!」

 四方八方を囲まれながらも沖田は容赦なく敵を斬り倒していった。

「早く逃げろォォ!!」

 応戦しながら瓦礫の後ろに隠れる神楽たちに叫ぶ。

 神楽は背中に霧江を抱き上げて逃げようとするが、霧江の腕が少し震えた。

 隣でAが立ち上がり、神楽に背を向け沖田の方を向く。

「?A……?」

 沖田は敵を薙ぎ倒していくものの、やはり多対一では無傷とはいかず頰や足を切られていた。

「遠方から狙撃するのよ!撃てェェ!!」
「チッ」

 ただでさえ周囲の敵を相手にしなければならないのに、前方からライフルが向けられ沖田は舌打ちをする。

 パァンと発砲音がして彼へと弾丸が飛ぶ。

 それ同時に斬りかかられて沖田は刀を防ぎ、弾丸への対処に間に合わない。

 四方から敵が狙ってきていて避けることもできず、沖田は痛みを覚悟した。

 がしかし、上からAが沖田の前に降りてきて

 ガキンと弾丸を刀で弾き飛ばした。

「!!」

 沖田の目に風でなびく黒髪が映り、彼は目を見開く。

「あ、アンタ何で!!逃げろって言ってッ!!」
「ふふっ、あははっ!」

 沖田の言葉を遮るように、Aは状況に似つかわしくない笑い声を上げた。
 
「なっ……何で笑って……」
「どこかのお兄ちゃんもそうだったけど。沖田君も大概、わがままだなあ……」
「わが、まま?」

 Aを護りたくて彼女を逃がそうとしていたのに わがままと言われ沖田は驚く。

「綺麗な手でいてほしい、か……それは相手を大切にしている一方で、その実、その人のわがままなんだよ」

「大事だからと庇護していても相手からしてみればそれは、『護りたいものを護らせてもらえない』ことに他ならない」

 昔の、攘夷戦争を思い出してAは刀を握りしめた。

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設定タグ:銀魂 , 逆ハー , 愛され   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年5月27日 2時

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