汚れても護らなければいけないものがある 十二 終 ページ43
「いくぜ新八」
「ハイ!」
「!ちょっと待って!」
平然と行こうとした銀時に神山は慌てて制止した
「聞こえなかったスか!仲間連れてったら隊長……」
「心配いらねーよ。俺たち仲間じゃねーから」
銀時たちは神山に背を向けて先に行こうとする
「ならどうして行くんスか!」
「アイツと同じ、侍だからだ」
問われて銀時は頭を掻いて言った
「それに」
銀時は後ろを振り向いて
「Aのあの顔見たらいつも、引っ込んでられねーんだよ俺ァ」
フッと少し苦い顔で笑った
『なん、で……』
霧江といた時の彼女の顔が脳に浮かぶ
長らく彼女と共にいた彼が見たことのある瞳
『私、強くならなきゃ……皆と戦場に立てるくらいに。今のままじゃきっと、弱いんだ』
昔から垣間見えた執念の瞳
『私が人を、殺していた……』
彼女の自身を問い詰めるような瞳
『護りたいと囲ったものが、自分のせいで危険な目に遭ってしまうの』
『私、護るものなんて持つべきじゃ』
「あの目ェ見ると、ほっとけねーんだよ。昔から」
銀時はチラッと横の方を見て
「お前もそうだろ」
誰かを呼ぶように瓦礫に声をかけた
するとそこから、戦が姿を現した
「チッ、なんでバレてんだよ」
「い、戦さん!!ま、マズイですよ!坂田さん達ならともかく、隊士がここに来てたらそれこそ」
神山が顔を青くして、戦は ため息をついた
「ばーか。俺は今 私服なんだよ」
「おいおい、まさか制服脱いだら仲間じゃねーなんて冷酷無比なこと言うつもりかー?」
銀時が意地の悪い顔で茶々を入れてきて戦は呆れる
「ちげーよ。俺ァただ……妹助けるついでに、その周りにいるガキ連れて帰るだけだっての」
銀時はフッと笑った
「……素直じゃねーな。ギャルゲーのツンデレヒロインかよ」
「うるせーなァ。ギャルゲーのツンデレはもっとチョロいわ」
「お前、A相手ならだいたい『チョロい女』だろ。すぐ攻略されるだろ。Aへの好感度100だろ」
「うっせー!もう攻略されてんだよ。好感度1000だわナメんな」
「まあ、銀さんのAへの好感度は千超えてるけどな」
「はあ?俺のAへの好感度は万超えてるしぃー?」
「お前やっぱチョロいだろそれ」
「それ言うならお前も同じじゃねーか!」
二人が騒ぎ始めて新八は呆れた顔をする
「二人ともなんの話してるんですか……」
一行は騒ぎながら沖田のいる場所へと向かった
泥だらけの手でも離さない 一→←汚れても護らなければいけないものがある 十一
81人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年5月27日 2時