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親が思うほど子は馬鹿ではない 二 ページ10

松陽は朝どこかに出かける前に、戦にある指示を出した

『戦、いいですか。私は数日、家を空けます。今日と明日は、絶対にこの家屋から出ないでください』

 松陽は一週間は過ごせる程度の食材を保管していたため、買い出しなどに行く必要すらない

 遊びにさえ出なければ、二日間くらいは家で過ごせる状況だった

『何があっても、ここから出ないこと。誰かが来ても、絶対に戸を開けないこと。良いですね』
『?お、おい先生……どうしたんだよ』

 普段から柔らかい松陽の表情は、珍しく硬く険しいものになっていた

 何の説明もされないままで、戦はよく分からずに尋ねた

『ワケは全て終わった後で話します。なるべく早く、戻ってきますから。貴方はAと一緒に、ここから絶対に出ないこと』

 松陽は戦と目線を合わせ、小指を立てる

『約束、してくれますか。まだ貴方には話せませんが、これは……Aを護るためなんです』

 それを聞き戦は黙って松陽の小指を見つめた

 小さくため息をついて、そこに自分の小指を絡ませる

『しゃーねーなっ……先生の頼みだ。せっかくだから、聞いてやってもいいぞ!』

 胸を張って誇らしげにする戦に、松陽はふっと笑う。

『ありがとう……戦』

 松陽は戦の頭を撫でて、Aにも家から出るなと伝え、家屋を出て行った。

 その日の夜

ーー戦の両親が、家屋を訪ねてきた。

 戦は自分の両親だからか、その戸を開けてしまった。

『戦!近々、大金が手に入るぞ!今度皆でうまいウナギでも食いに行くか』
『!!うなぎっ!A!うなぎだってよ!』
『明日はAを連れて船着場で待っていてちょうだい』

 父親と母親が楽しそうに笑っていたので、戦とAもつられて笑った。

 両親が内に秘めた、醜い真意を知らずに。


 次の日の夜、戦はAを連れて港に来た。

 そこには一つ、商業用の大きな船が停まっている。

『さ、行くぞ』

 行商人たちが行き交うなか、父親は戦とAを連れて船の中に入った。

 長い廊下を歩き、両親は戦をある一室に送る。

『A。ちょっとおめかししてもらえるから、女中さんの所にいっておいで』
『おめかしっ?』

 母親の言葉にAは嬉しそうに目を輝かせた。

『わかった!お兄ちゃん、行ってくる!』
『おう、バッチリ可愛くなってこいよー』

 いつもと同じように、戦はAを見送った。

 その後、両親は仕事関係の人が船にいるから話してくる、と部屋を出て行った。

親が思うほど子は馬鹿ではない 三→←親が思うほど子は馬鹿ではない 一



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設定タグ:銀魂 , 逆ハー , 愛され   
作品ジャンル:アニメ
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» コメントありがとうございます!ここまで読んでいただきオリキャラも慕っていただきありがとうございます! (5月5日 12時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - いつもありがとうございます。夢主ちゃんも勿論大好きなのですが、ぶっきらぼうでちょっと怖いけど本当は優しいお兄ちゃんも大好きなので、彼の話を心待ちにしておりました。 暑くなってきましたので体調に気をつけてお過ごしください。 (2023年5月3日 12時) (レス) @page39 id: e6fe50ece6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年4月21日 21時

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