家族は彼女だけでいい 六 終 ページ8
「自分の、親を……」
山崎は全て聞いて目を見開いた。
『……』
土方と沖田も最初こそ驚いていたが、戦の親殺しを非難することはなく黙っていた。
(生みの親を殺すのは確かに正気じゃない。だが……)
(俺も……姉上に手を出されたら誰だろうと殺しちまうかもしれねェ)
血が繋がっていないが大切な義妹と
血は繋がっているが義妹を売り飛ばした肉親
どちらかを天秤にかけるとしたら、土方と沖田も戦と同じ道を選ぶだろう
「ま、処刑に乱入しちまったもんで、身柄確保されてしばらくは投獄されてたがな。もともと処刑する奴を割って入って殺したってんで、その罪自体は軽かったんだが……」
何ぶん戦は、その謀反者の息子である
彼も反乱分子じゃないかと疑われて厳しく取り調べされてた
「Aの仲介と説得のお陰で真選組にも入れたが……ま、今でもたぶん上からの疑いは晴れきってねーだろうな。幕府の高官どもは俺がAの隣にいたら睨んでくるし」
戦は親を殺した話をしたというのに、平然と笑っていた
土方と沖田は何ともなさそうだったが、山崎は少し怯えた様子で、戦は眉を下げて頭をかいた
「……わりィ。さすがに親殺しと一緒に仕事なんざできねーよな」
戦は親の話をすること自体は別に気にしないが
周りがどう受け取るかはその人次第であるため申し訳なさそうに謝った。
「あ……いや、その……」
山崎も心の中の恐怖や動揺は自然と出てきてしまったもので、決して戦を嫌いたいわけではない。
ただ本能が怖がっているだけである。
「無理すんな。親殺す奴なんざ、マトモじゃねー。その反応は当然のことなんだからよ」
土方と沖田が特別
「あ、だが一個だけ頼みがある。一連の話、Aは知らねーんだ」
「えっ……知らないって、でもAさんは天人に売られたって……」
「アイツ、養父母に裏切られたショックでその当時の記憶がすっ飛んでてな」
「え……」
幼い頃に親を亡くしたAにとって、戦の両親は大事な存在だった
そんな人物から裏切られて、幼い彼女の精神は限界を越え、記憶から一連の事件を抹消したのである
「アイツは俺が親を殺したことも知らねえ。だから」
戦は人差し指を立てて口元にやる
「この事は、絶対にAには言わないでくれ」
それは戦が彼女にする、最大の隠し事だった
親が思うほど子は馬鹿ではない 一→←家族は彼女だけでいい 五
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刹那＊桜(プロフ) - アイナさん» コメントありがとうございます！ここまで読んでいただきオリキャラも慕っていただきありがとうございます！ (5月5日 12時) (
レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - いつもありがとうございます。夢主ちゃんも勿論大好きなのですが、ぶっきらぼうでちょっと怖いけど本当は優しいお兄ちゃんも大好きなので、彼の話を心待ちにしておりました。 暑くなってきましたので体調に気をつけてお過ごしください。 (2023年5月3日 12時) (レス) @page39 id: e6fe50ece6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：刹那＊桜 | 作成日時：2023年4月21日 21時
