家族は彼女だけでいい 三 ページ5
戦は、前を向いたまま隣にいる桂に刀を向けていた。
「ヅラ、お前」
一つ名を呼んで
「随分とお喋りになったもんだな」
低い声でそう言った。
目線は桂へ向けないもの、黄色い目には確実な怒りと殺意が渦巻いている。
「……貴様こそ、随分と感情のコントロールがヘタになっているな」
「黙れ」
ギリッと奥歯を噛んで戦は言葉を吐き出した。
「たとえアイツらがAの星人の特性に魅入られてあんな行動をしたとして、俺は奴らを許す気なんざねェ……そんな親に気付けなかった俺自身も、俺は許す気なんてねェ」
「……仕方なかろう。当時のお前は星人のことを知らなかった」
「だから何だ。自分の親を盲目的に正しいと信じて気付けなかった」
戦は桂の首から刀を離して下におろした。
「アイツらは家族でも何でもねェ。そんな奴らにくれてやる花なんざ、何一つねェよ」
吐き捨てるように言って戦は鞘に納刀する。
「Aにとって俺は、たった一人の家族なんだ。俺がそばにいてやらなきゃならねェ」
「俺は、Aを護らなきゃならねェ。護る義務があるんだ。ガキの頃にできなかった分、今で報いるしかねーんだ」
鞘に収めた刀の柄を掴んでグッと拳に力を入れた。
桂はそんな様子の彼を見て、小さく息を吐いて目を閉じる。
「……あまり、抱え込みすぎるなよ。お前は一人じゃない」
「お前に何かあれば、お前が一番大事にする女が泣く可能性があること……忘れるなよ」
それだけ言って背を向け、桂は帰っていった。
「……チッ。分かった風な口利きやがって……」
戦は眉を寄せて舌打ちを放った。
Aの両親の墓の前に刀の鞘を差し、そこに
「……あなた方の代わりに、
「命に替えても」
「たとえーー人を殺してでも」
戦の殺意渦巻く瞳は、歪んだ決心を持ってしまっていた。
ーー
「そういえば、今日は戦さん来ませんでしたね」
新八は万事屋銀ちゃんの台所で食器を洗いながら、居間でジャンプを読む銀時に話しかけた。
Aは夕飯の買い出しに行っていて、神楽は銀時の向かい側で酢昆布を食べつつテレビを見ている。
「ああ、あいつなら墓参りに行ってるんじゃねーか。父の日だし」
「それって……」
「あいつの親も死んじゃったアルか？」
「……まあな」
新八と神楽が眉を下げて尋ねると、銀時は少し間を開けて答えた。
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刹那＊桜(プロフ) - アイナさん» コメントありがとうございます！ここまで読んでいただきオリキャラも慕っていただきありがとうございます！ (5月5日 12時) (
レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - いつもありがとうございます。夢主ちゃんも勿論大好きなのですが、ぶっきらぼうでちょっと怖いけど本当は優しいお兄ちゃんも大好きなので、彼の話を心待ちにしておりました。 暑くなってきましたので体調に気をつけてお過ごしください。 (2023年5月3日 12時) (レス) @page39 id: e6fe50ece6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：刹那＊桜 | 作成日時：2023年4月21日 21時
