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こびりついて離れない悪夢 ページ40

「綺麗な兄妹愛も結構だけど、貴方たちはここで終わるのよ」

 女が笑って言い、轟音がして部屋の窓に飛行船が迫ってくる

 船から天人たちが出てきて窓を割って侵入してきた

『!!』

 それは宇宙海賊春雨で、Aと戦は目を見開いた

「てめー春雨と手ェ組んでやがったのか!」

 二人はすぐに囲まれてしまい、戦はすぐにAと背中を合わせて刀を構える。

 しかし後ろの彼女は刀を下ろしていて、戦が不思議そうにそちらを見れば

「天、人……」

 Aは顔を青くして震えていた

「おいおい。上物の女手に入るって言われてそこまで期待してなかったが」
「こんな土くせェ星にも良いもんが残ってたんだなァ?」

「ッ……」

 大勢の天人たちの目がAに集中する

 戦でなくても分かる

 むしろ、Aだからこそ分かる

 その目が、欲にまみれて弄ぼうとしてくる醜悪なものだということが

 一度信じた相手が裏切り、目の前にいるのは自分を物としか思わぬ天人だけ

 この状況はあまりにも「あの時」と酷似しすぎていた
 
 彼女の脳内に汚泥の如き記憶がよみがえってくる

『おい、こいつ全然アルタナの結晶ださねェぞ』

『怪我を負わせたらすぐ治るから星人なのは間違いねーんだが』

『さっさとてめーらの力でアルタナの結晶だせ』

 思い出したくもない悪夢(きおく)

 それはAの脳を止め、心を掌握し、体を震わせる

「ーーろ!」

「しっかりしろ!Aッッ!!」
「!」

 ガッと腕を掴まれてAは現実に意識を引き戻される

「おに、ちゃ……」
「こんなとこで立ち止まってんじゃねェ!!護るんじゃなかったのか!」

「俺を、護ってくれるんじゃなかったのか!!」
「ッ……」

 Aの目から大粒の涙があふれる

 泣きたくて泣いているわけではない

 前に進もうとする勇気すら押し流す恐怖

「わたし……強く、なりたい」

 昔を乗り越えようと必死で もがく彼女に、戦はニッと笑った

「上等だ。俺が強くしてやる」

「俺がお前の隣に立って、俺がお前の背中を預かって、俺がお前の手を引いてやる」

「だからーー刀を構えろ、A」

 深い闇に一筋の光が眩しく差し込む。

(嗚呼……私はこの眩しい光が大好きなんだ)

 眩しくて暖かくて優しい光

(この光があるから、私は後ろを向かずに歩いていけた)

「貴方には……敵わないな」

(救われるのは、また私の方だ)

 Aは眩しい光を掴んで、戦の隣で刀を構えた

奈落に灯る蜘蛛の糸 一→←家族だって知らないものの一つや二つはある 四 終



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設定タグ:銀魂 , 逆ハー , 愛され   
作品ジャンル:アニメ
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» コメントありがとうございます!ここまで読んでいただきオリキャラも慕っていただきありがとうございます! (5月5日 12時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - いつもありがとうございます。夢主ちゃんも勿論大好きなのですが、ぶっきらぼうでちょっと怖いけど本当は優しいお兄ちゃんも大好きなので、彼の話を心待ちにしておりました。 暑くなってきましたので体調に気をつけてお過ごしください。 (2023年5月3日 12時) (レス) @page39 id: e6fe50ece6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年4月21日 21時

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