大事なものの為ならば何だってできるのが怖いところ 六 ページ32
A達は四人で分かれ、手分けして江戸中で情報収集し始めた
いま街では、真選組の隊士が役人を殺そうとしたという話で持ちきりである。
今回の犯人が戦であることは公表されていないため隊士という曖昧な情報しか回っていないが
もともと荒々しい印象のあった真選組が、さらに一歩引いた目で見られることとなった。
「Aちゃん、ホントに真選組にいて大丈夫?」
「ほら、幕府での仕事があれば十分食っていけるだろ?ちょっと距離置いたほうがいいんじゃないか?」
Aが街で聞き込みをする度、周りの人たちが彼女に真選組を離れるよう促してくる
それはAを心配してのことであり、彼女自身もそれは分かっている
「大丈夫。真選組の皆、いい人だから」
Aは少し寂しく思いながらも真選組から離れようとはしなかった。
「あれ、Aちゃん?」
後ろから声をかけられて振り返れば、戦に襲われた件の役人の女がいた。
とはいえAや街の人たちは、襲われたのが彼女であるとは知らない。
「何してるの?何か聞き込み?」
「あ、うん……ちょっと、お兄ちゃんのことをね」
「あー……役人を襲ったっていうアレね。ホントびっくりしたよねー」
女の発言を聞いてAは目を見開いた
「お兄ちゃんがやったことだって、知ってるの?」
「え……」
(しまった、口が滑った)
女は顔を引き攣らせて左上へ視線を上げる。
Aが違和感を覚えるのも当然
役人が真選組の隊士に襲われたことは広まっているが、「戦が」役人を襲ったという情報は街では誰も知らないはずなのである
「あー、私も父上も役人だから、今回の件すぐに耳に入ってきたんだよ」
「あ……そっ、か……」
確かに役人同士の繋がりがあれば知っていることも納得できる。
(!そうだ、彼女なら襲われた役人のこととか何か知ってるかもしれない)
「あのっ、今回の件なにか知ってること、ない?」
「知ってることかー。うーん……ちょっとないかな……あ、でも私も聞き込みしてみるよ!」
「えっ、いいの?」
「うんっ。友達が困ってるなら、力を貸さなきゃね」
女はにっこり優しく微笑んでAの手を取った。
「兄がこんな状況になって、Aちゃん相当辛いでしょ」
「!」
Aは彼女の言葉に目を見開く。
「私もついてるから。安心して、Aちゃん」
「……うん。ありがとう」
Aは自分の心に温かい熱が伝わってきて、ぎゅっと女の手を握った。
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» コメントありがとうございます!ここまで読んでいただきオリキャラも慕っていただきありがとうございます! (5月5日 12時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - いつもありがとうございます。夢主ちゃんも勿論大好きなのですが、ぶっきらぼうでちょっと怖いけど本当は優しいお兄ちゃんも大好きなので、彼の話を心待ちにしておりました。 暑くなってきましたので体調に気をつけてお過ごしください。 (2023年5月3日 12時) (レス) @page39 id: e6fe50ece6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年4月21日 21時