大事なものの為ならば何だってできるのが怖いところ 三 ページ29
『辛いと思うなら、誰かにそれを吐き出しなさい。Aに言いづらいなら、銀時たちでもいい。彼らならきっと、君のそばで耳を貸してくれるでしょう』
『それとも、銀時たちでも信用できませんか』
『!違うっ!そうじゃない。けど……』
戦は銀時や桂や高杉を信用できないわけではない。
相談できない相手だと思っているわけでもない。
『これは、俺の問題なんだよ』
『……貴方の問題は決して、貴方「だけ」の問題ではないんですよ』
松陽は目を閉じて優しげな声で言った。
『「君のそばにいる人」は、意外と君をよく見ているものです。君が何かを隠して抱え込んでいるなら、その人はきっと気づくでしょう』
松陽が誰のことを言っているのか、戦は分かっていた。
戦のそばにいつもいる、彼にとって大事な女の子。
『一人でずっと抱え込んでいたら、いつか……その大事な人が泣いてしまいますよ』
「ハハッ……先生の言う通りになっちまった」
戦はAを泣かせてしまって、乾いた笑い声をもらした。
そこに喜楽など何一つない。
(先生の言うことは、分かってる。周りの奴らを別に信じてねーわけでもねェ)
一人では限界があるとも戦は知っていた。
(だが……俺がやらなきゃならねえんだよ。俺が護らなきゃダメなんだよ)
(じゃなきゃまた、昔みたいに……)
脳裏によみがえる
ーー皆様のおかげで私たちは大安泰ですよ
両親の薄汚い眼と
ーーく、る……戦、くんの……お父さんと、お母さんが……
辛苦に歪んだ大事な人の瞳が
(俺が護らなきゃ……兄である俺が、家族である俺が……)
しかし戦は牢屋に閉じ込められていて身動きが取れない。
「クソッ!」
ガン、と拳を壁に叩きつけた
(あの女、俺に計画を気づかれて行動を早めるはずだ……近いうちAに手を出すかも知れん)
「ッ、こんなところでオチオチしてられっか」
(ここから脱獄して何としてもあの女を……殺す)
戦の黄色い瞳が薄暗い牢の中で禍々しく光った
ーー
「それで、ホシは吐いたんですかィ土方さん」
沖田は真選組の屯所で近藤、土方と
戦の事について話していた
「何だその呼び方。普通に名前で呼びやがれ」
「隊員だろうが平等に裁くのが俺たちの仕事ですぜ」
(Aさんの周りの邪魔な壁がなくなってちょうどいいや)
沖田はニィと意地の悪い笑みを浮かべていて
「オメー、本心バレバレだぞ」
「え、俺なにも言ってやせんぜ」
「鏡見ろ鏡」
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» コメントありがとうございます!ここまで読んでいただきオリキャラも慕っていただきありがとうございます! (5月5日 12時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - いつもありがとうございます。夢主ちゃんも勿論大好きなのですが、ぶっきらぼうでちょっと怖いけど本当は優しいお兄ちゃんも大好きなので、彼の話を心待ちにしておりました。 暑くなってきましたので体調に気をつけてお過ごしください。 (2023年5月3日 12時) (レス) @page39 id: e6fe50ece6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年4月21日 21時