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猿が烏帽子を被れば鬼になる 二 終 ページ26

「高杉の野郎、俺を利用しやがって。だが上等だ」

「てめーが用意した舞台で面白く踊ってやらァ」

 戦は口角を上げて刀を構え、女に斬りかかった。

「ッ!!」

 女は前に手を出して身構える。

 しかし戦の刃は、女の体を斬らず

 ガキンと刀によって押さえられた。

 戦の目の前で、見慣れた黒い隊服がなびく

「御用改である!!役人を狙う者がいると聞いた!神妙にお縄に……」

 隊服姿の男がタバコを咥えながらコチラを見てきて、目を見開いて固まった

「お、まえ……なに、してんだ」

 土方が戦に驚く

「土方さん何してやがんでさァ。とっとと捕まえて……」

 沖田も部屋に来るが、剣を交える二人に言葉を止めた

「そ、そいつ私の腕を斬ったの!早く捕まえて!」
「ッ……」

 戦が役人を襲うなど、何かしらの理由があってこうなったのではないかと土方は考えていた

 しかし襲われた者がいる手前、彼を見逃すわけにもいかない

 戦はこの状況に眉を寄せた。

(真選組が来るにゃ早すぎる……)

 戦が女を斬ったのは、つい先ほどのこと

 そこで女は通報する素振りなどはなかった

(この女、俺をハメるために前もって真選組を呼んでたのか)

 おそらく、戦が腕を斬らずとも何らかの方法で女は被害者側の状況を作り出したはずである。

 土方は額に汗を浮かべて徐々に刀の力が弱くなるが、戦はフッと笑った

「沖田、剣を抜け」

「土方、力を込めろ」

「今の俺は、ただの犯罪者だ」

『ッ……!』

 戦の言葉で、土方と沖田は目の前の「敵」と交戦し始めた

ーー

 まだ夜ではないというのに空は雲に覆われて、暗い世界に雨を大量に降らせていた。

 叩きつける雨の世界に、外に出る者は誰一人いない

 Aを除いて

「はあっ、はあっ……」

 星は傘もささず雨に打たれて全力で走った

 荒い息を口から吐き出して、足元の水たまりを弾いて前に進む

『戦さんが捕まった!?』

 頭に浮かぶのは、新八の驚いた声

「あッ!はあ、はあっ……」

 突風が体を叩きつけてきて、女は転けそうになって慌てて体勢を立て直した

 しかし止まることはなく、再び前に踏み出して走る

『どうにも、役人を斬り殺そうとしたみたいでな』

 銀時が頭に手を当てて、幼馴染の所業に眉を寄せていた

「っはあ、ハッ……」

 凍てつく寒さで、口から出る息が白く染まっていく

 雨で体に張り付く服がどんどん体温を奪っていっても、妹は決して止まることなく走り続けた

大事なものの為ならば何だってできるのが怖いところ 一→←猿が烏帽子を被れば鬼になる 一



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設定タグ:銀魂 , 逆ハー , 愛され   
作品ジャンル:アニメ
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» コメントありがとうございます!ここまで読んでいただきオリキャラも慕っていただきありがとうございます! (5月5日 12時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - いつもありがとうございます。夢主ちゃんも勿論大好きなのですが、ぶっきらぼうでちょっと怖いけど本当は優しいお兄ちゃんも大好きなので、彼の話を心待ちにしておりました。 暑くなってきましたので体調に気をつけてお過ごしください。 (2023年5月3日 12時) (レス) @page39 id: e6fe50ece6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年4月21日 21時

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