目は口ほどに物を言う 五 終 ページ24
「俺ァ、そいつが嫌いだ」
戦は両親の船での事件がきっかけで、ある眼が嫌いになった。
人を利用して何とも思わないその眼が
大切な彼女へ向けられる欲にまみれた汚い瞳が
彼女を値踏みする気持ちの悪いその眼光が
「俺はーーその目が大嫌いなんだよ」
目の前の女の腐った目が
大事な女に向けられることは戦にとって不快でしかない
嫌いだからこそ、憎んでいるからこそ
ほんの一瞬だとしても
すぐに気づくのである
「フッ……フフフッ……相当好きなんだね、あの人のこと」
女は腹を抱えて笑い、バレても特に気にしていない様子だった
「でも残念。確かに貴方の読み通り、私は父の地位を上げるために利用しようとしていた。でも、Aに近づいたのはそれだけじゃない」
「なに……」
「貴方も知ってるでしょう。あの子が……」
「星人だってこと」
「!!」
ピシッと戦の脳に電撃が走った
女は、知っていたのである。
Aの正体を。
「アレをただ政治に利用するのは宝の持ち腐れだわ。『あんなもの』、使い用によっては世界を支配することもできる」
女は楽しそうに笑って、汚い目でAを思う。
戦は奥歯を噛み締めて怒りを何とか抑えた。
「てめェ……何で知ってる」
「……フフ、ある男が教えてくれたの」
「ある男だァ?」
「ーー高杉晋助よ」
戦は目を見開いた。
最近 Aを星人だと知る人物が増えてきたが、皆がその真実を他人には漏らさなかった。
大事なAが危険な目に遭わないようにするために。
それは銀時たちだけでなく、反幕府側である鬼兵隊の者たちも同じだった、はずなのである。
(特に高杉なんかはAを傷つけるような奴ァ、喉元切り裂いて殺そうとするはず。わざわざAの情報を与えることは……)
「!」
脳内で考えを巡らせていた戦は、あることに気づいて思考がピタッと止まった。
「……ああ、そうか……」
彼の口角がどんどん上がっていく。
「ク、クク……高杉の奴……どんだけAにのめり込んでやがんだよ」
戦は引き上がる口元を手で隠し、もれる笑い声を何とか抑えた。
「ッ……何それ、どういうことよ。アンタの妹、幼馴染に裏切られたのよ」
この状況で笑う戦が理解できず、女は少し恐怖を感じる。
「クク、おもしれェこと言うぜ。アイツがAを裏切るわきゃねーって」
「テメーはなァ……」
「美味いエサ垂らされて、まんまと誘き出されたんだよ」
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» コメントありがとうございます!ここまで読んでいただきオリキャラも慕っていただきありがとうございます! (5月5日 12時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - いつもありがとうございます。夢主ちゃんも勿論大好きなのですが、ぶっきらぼうでちょっと怖いけど本当は優しいお兄ちゃんも大好きなので、彼の話を心待ちにしておりました。 暑くなってきましたので体調に気をつけてお過ごしください。 (2023年5月3日 12時) (レス) @page39 id: e6fe50ece6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年4月21日 21時