目は口ほどに物を言う 四 ページ23
三人で遊びに行った日から三日後、戦は女に連絡して彼女を食事に誘った。
「まさか貴方が誘ってくれるなんて、どういう風の吹き回しなんですかね」
豪華な料亭で、女はテーブルの向かいに座る戦に目を向けて笑った
「もしかして……私に惚れた、とか?」
「そうだと言ったら?」
女は冗談で言ったが肯定と取れるような返しをされて目を見開いた
しかしその雰囲気が、好きな相手を前にするものでないことは明らかである。
「……ふふ、嘘がヘタクソなんだから。言ったでしょう?目は口ほどに物を言う。貴方の目は、彼女から片時も離れない」
女はフォークとナイフを置いて、戦の目を見やる
「図々しくうっとうしく張り付く面倒な目」
女の目は怒りが見え隠れしていた
「この間だって、せっかくAさんと遊べると思ったのに貴方がついてきた。彼女に誘われたとはいえ……私の気持ちを知ったなら、あそこは空気を読んでさっさと去ればいいのに」
「……わりーな。俺ァKYなんだわ」
空気がひりつくが、戦は気にせず肉を頬張った。
「関係性を言い訳にダラダラと……他の人と違って彼女の恋人になろうとする気もないのに、邪魔なんですよ」
女はストレートに嫉妬と嫌悪をぶつけてきた。
鬱憤を吐き出しながら苛立ちを抑えるように食事を再開する。
しかし
「よく言うぜ。てめーこそ、純粋にアイツの恋人になろうなんざ思ってねーくせによ」
戦の発言に、ピタッと女の手が止まった
「……何のことです」
「……さァ、何のことだろうな」
戦は曖昧に返した。
「目は口ほどに物を言う。その
「……何を言ってるんですか」
「てめーは完璧に近いほど自分を作っていたのかも知れねーが……一瞬でもあの目が出りゃ、俺ァ絶対に見逃さねえ。欲にまみれた汚ねェ目だったぜ」
「Aを好きだなんざ真っ赤な嘘だ。本当に好きな奴は……そんな目ェしねーんだよ」
戦は銀時や土方、沖田の姿を脳裏に浮かべて
彼らのAにだけ見せる熱い目を思い返す
「てめェ……Aを自分のために利用としてやがるな」
「おそらく幕府高官の父親の出世のため、お上のお気に入りのAを使ってのし上がろうとでもしてるんだろ。Aを抱き込めば、将軍にさえ優遇されるだろうからな」
「……」
目の前の女は口角を引き上げる。
「何で分かっちゃったかなァ」
女の綺麗だった目は、腐ったものに変わっていった。
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» コメントありがとうございます!ここまで読んでいただきオリキャラも慕っていただきありがとうございます! (5月5日 12時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - いつもありがとうございます。夢主ちゃんも勿論大好きなのですが、ぶっきらぼうでちょっと怖いけど本当は優しいお兄ちゃんも大好きなので、彼の話を心待ちにしておりました。 暑くなってきましたので体調に気をつけてお過ごしください。 (2023年5月3日 12時) (レス) @page39 id: e6fe50ece6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年4月21日 21時