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目は口ほどに物を言う 三 ページ22

「てめェ……」
「まあ、安心してくださいよ。私はAさんのことがお気に入りなので」

 女はにっこり微笑んで言った。

「ただいまー」

 戦が鋭い目つきで女を見るヒリついた空気の中、帰ってきたらAの声が空気を裂く。

「あ、おかえりなさい」

 女はさっきまでの緊迫した雰囲気などなかったかのようにニコニコしてAを迎えた。

(厄介な奴が一人増えた……)

 Aの横で熱を持った目で楽しげにする女は、戦が何人も見てきた姿

 Aに惚れた者の姿である

「チッ……」

 戦は面倒くさそうに小さく舌打ちをこぼした

 それから三人は食べ終えてレストランから出ると、ショッピングをしていた

 その間、戦はずっと後ろで二人についていくだけだった

 前では二人が楽しそうに笑っていて

「!」

 Aの表情が幸せそうなのに気づいて戦は目を見開いた

(そう、か……Aにゃ同世代の同性の友達がいねェから……)

「Aちゃんっ、このアクセサリー似合うと思うんだー」
「っ!?あ、ありがと……で、でもちょっと、近くない……?」
「えー?そう?」

 女に直近から見つめられてAは顔を赤くする

 女がキャッキャと楽しそうにする横で、Aはスキンシップの激しい相手に段々ドキドキし始めていた

 Aの様子に、戦は今までの彼女が思い浮かんでくる

 今まで幼馴染だと意識してこなかった銀時にAは時折、熱を持った目をするようになった。

 今まで仕事上の上司だと一線を引いていた土方の横で、Aはよく照れるようになった

 今まで手のかかる仕事仲間だと呆れていた沖田を、Aは気にして目を追うようになっていた

 今までダル絡みしてスキンシップも激しかった伊東に、Aは躊躇いを持って顔を赤らめるようになった

 そして今、Aは女性相手にすら動揺して赤面している

 昔は「Aは誰に対しても相手を恋愛的に意識しないから」と言い訳ができたのに

(俺相手じゃ、アイツはあんな反応見せない……)

 今は「自分が兄だから意識されていない」と

 ただ現実が彼を打ちのめしてくる

『そうやって抑え込んでると……女にすら取られちゃいますよ。義兄さん』

 悔しさが戦の心に絡みつく

 ただ目の前の光景が眩しくて、羨ましくて

 しかし

「Aさんはやっぱり、素敵ですね」

「!!」

 戦は、女が一瞬だけAに見せた眼の色を見逃さなかった。

 闇と欲に埋もれた、醜いその眼を

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設定タグ:銀魂 , 逆ハー , 愛され   
作品ジャンル:アニメ
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» コメントありがとうございます!ここまで読んでいただきオリキャラも慕っていただきありがとうございます! (5月5日 12時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - いつもありがとうございます。夢主ちゃんも勿論大好きなのですが、ぶっきらぼうでちょっと怖いけど本当は優しいお兄ちゃんも大好きなので、彼の話を心待ちにしておりました。 暑くなってきましたので体調に気をつけてお過ごしください。 (2023年5月3日 12時) (レス) @page39 id: e6fe50ece6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年4月21日 21時

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