目は口ほどに物を言う 二 ページ21
「てめェ、どういうつもりだ」
戦はAが席を離れ、感情を抑えずに眉を寄せて険しい顔つきで女に問うた
「何のことですかー。義兄さん怖いなー」
「とぼけんな。さっきからずっと俺を煽ってくるような目つきしやがって」
「ふふ、だってAさんのことが気になっちゃって。私、Aさんのこと……全部知ってるんですよ」
「!!」
女の発言に戦は目を見開いた
(まさかこいつ、星人のことを……!)
戦の頭の中で警鐘がうるさく鳴り響く
女は口角を上げて
「Aさんは……」
「超絶可愛いってことを!!」
満面の笑みで言い切った
予想が外れて戦はガクッと体を揺らす
「は、はァ?緊迫した空気でなに言い出すのかと思ったら」
「だって事実じゃないですか。可愛くて仕方がないんですよ。だから……欲しいんですよ、何としてでも」
彼女は頬に手を添えて熱を帯びた目で語る
夢に焦がされた子供のように、光に魅入られて甘い感情を外に出した
「アンタも虜にされた口か……辞めといた方がいいぜ。アイツを落とすにゃ、敵が多すぎらァ」
「そうですね。だって……」
「あなたもその一人なんだから」
ピクッと戦の眉が動いた
「『目は口ほどに物を言う』。あなた、さっきから私のことを殺したがってる目をしてる。敵を見る目。邪魔者を消したがる目。それって……あなたも彼女のことを」
「黙りやがれ」
戦は女に続きを言わせまいと言葉を重ねてくる
ニィと女の口角が引き上がる
「可哀想に。お互いにたった一人の家族だから。その
「いや……あなたは切っても構わないと思っているけれど、彼女はそうじゃない」
「黙れ」
「兄でいることであの子に手は出せない。他の男は簡単に横に並べるのに。幼馴染や、つい最近出会ったばかりの人たちですら簡単に彼女の異性の枠に入れるというのに」
まるで全て見透かすような彼女の発言に戦はグッと拳を握る
「Aさんにとって貴方は最後の砦。心を安定させるために必要な存在。それは家族という鎖でしか保てないもの。そうなると……貴方が関係を崩してしまえば彼女は」
ガッと女の横をナイフが飛んで後ろの壁に突き刺さった
「黙れっつってんだろ」
黄色い目が膨大な殺意を外に出して女を睨みつける
「……怖い怖い。でもそうやって抑え込んでると……女にすら取られちゃいますよ。義兄さん」
女は口元に人差し指を当ててニヤリと笑った。
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» コメントありがとうございます!ここまで読んでいただきオリキャラも慕っていただきありがとうございます! (5月5日 12時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - いつもありがとうございます。夢主ちゃんも勿論大好きなのですが、ぶっきらぼうでちょっと怖いけど本当は優しいお兄ちゃんも大好きなので、彼の話を心待ちにしておりました。 暑くなってきましたので体調に気をつけてお過ごしください。 (2023年5月3日 12時) (レス) @page39 id: e6fe50ece6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年4月21日 21時