家族は彼女だけでいい 一 ページ3
六月十八日ーー毎年六月の第三日曜日は、父の日である。
新八とお妙は墓参りに行き、神楽は星海坊主に手紙を送り、それぞれが思い思いの時間を過ごしていた。
万事屋から出ていた新八と神楽が用事を終えて戻ってくると、Aが花束を片手に玄関から出てきた。
「あれ、Aさんそれ……」
「あ……今からお母さんとお父さんのところに行こうと思って」
「そういえばAの親ってどこにいるアルか?」
神楽から問われてAは少し間を開けた後
「一緒に来る?」
言葉では伝えず、にっこり微笑んで尋ねた。
新八と神楽も同行することになり、Aは二人を連れて、町外れの寺の墓地に来た。
「ここって……」
「まさかAの親って……」
新八と神楽は墓地に来て、ハッと気づいて申し訳なさそうにAを見る。
「そんな顔しないで。変に気まずくならないように言葉で言わずに連れてきただけだから」
「ね、新八君、神楽ちゃん。良かったら一緒に私の家族にお参り、してくれるかな?」
Aは寺に売られていた花を指して微笑んだ。
『!』
「はい!」
「もちろんアル!」
二人とも申し訳なさそうな表情から、笑みへと変わった。
新八と神楽は寺で花を買い、Aの案内で彼女の両親の墓まで来る。
Aは墓に花を備えて一歩下がった。
「お父さんお母さん、今日は知り合い連れてきたよ。二人ともすっごく良い子なんだ」
二人にそれぞれ視線をやり、ポンと頭を撫でた。
「ん、Aさん……」
「A、くすぐったいアル……」
新八と神楽は撫でられて照れくさそうにしつつ、墓に花を添えた。
「あの、Aさん。ご両親のこと、お聞きしても……?」
新八は少し言いにくそうにしながらAへ視線を向けた。
Aは少し黙った後
「……うん。もちろん」
微笑んで答えた。
「ていっても、単純な話だけどね……昔、私が五歳くらいの頃……私の両親は天人の襲撃を受けて殺されちゃったんだ」
Aは落ち着いた様子で過去の話を新八たちに打ち明けた
彼女が銀時たち以外に昔の話をしたことは一度としてない
だが新八と神楽になら話してもいいだろうと思ったらしい
「そこから、私は師匠に拾われて、銀ちゃんたちと同じ松下村塾っていうところで育ったんだよ」
「戦君ともそこで出会って……初めて、お兄ちゃんができたんだ」
(戦君だなんて呼ぶの、久しぶりだな)
Aは昔を思い返してフッと笑った。
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» コメントありがとうございます!ここまで読んでいただきオリキャラも慕っていただきありがとうございます! (5月5日 12時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - いつもありがとうございます。夢主ちゃんも勿論大好きなのですが、ぶっきらぼうでちょっと怖いけど本当は優しいお兄ちゃんも大好きなので、彼の話を心待ちにしておりました。 暑くなってきましたので体調に気をつけてお過ごしください。 (2023年5月3日 12時) (レス) @page39 id: e6fe50ece6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年4月21日 21時