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生ゴミは ちゃんと地獄へ捨てましょう 一 ページ17

Aは受け入れられなかった。

 受け入れたくなかったのである。

 一度、親を失った彼女にとって

 手を差し伸べてくれた戦の両親は大事な存在だった。

 甘えていい、頼っていい大人の存在は重要で

 二人は精神の拠り所となるものだったのである。

 よりによってその拠り所に騙され裏切られたという現実は、受け入れてしまえばAの精神が崩壊しかねない。

 いや、一度 崩壊した結果

 現実から逃げるために「見たもの知ったもの全てを消し去る」道を選んだのかもしれない。

 Aは戦ほど、強くはなかったのである。

 戦はそんな彼女の様子を見て、黙ってしまった。

『……お兄ちゃん?』

 戦はグッと拳を握り、顔をあげてAをまっすぐ見た。

『俺の親の事で、話がある』

 あの船に乗る前と変わらずAにとって戦の両親は、優しい大切な家族である。

 ならば戦が彼女に伝えることは

『……二人が、船の事故で死んじまった』

ーー綺麗な嘘である。

 家屋に、Aの泣き声が響き渡った。

 大切な家族を想う綺麗な涙が落ちて、畳に染みをつくる。

 それと同じように、綺麗な涙を前に戦の心に

 黒い思いが染みついていった。



 ひとしきり泣き叫んだAは疲れて眠ってしまった。

『……ったく。風邪引くぞ』

 戦は布団を敷いてやり、そこにAを寝かす。

 黒い髪が白い布団に散り、赤みのある目元と頬がわずかに濡れていた。

 戦はそれを指で拭って彼女を見つめる。

『……A。お前を泣かせる奴を、俺は許せない。例えそれが、親であろうと』

『これから俺がすることをお前は望まないだろう。だが、俺にも俺なりの信念がある……お前が拒絶した現実はーー俺が叩っ斬ってやる』

 戦は真剣を持って立ち上がり、部屋を出てどこかに向かった。

 ドタドタと足音が聞こえて、彼の元に銀髪が走ってくる。

『戦ァ!おいどこ行く気だ!!まさか、親だからって造反者を助けようってのか!?』

 銀時は、戦の親が幕府に捕まって処刑される事を知って慌てて戦のところに来たのである

 彼は戦が親を助け出そうとしていると思っているようだが

『銀時。謀反者なんてどこにいる』

 戦は振り向かず、短く言葉を出した。

『家族なんて、どこにいる』
『お前、なに言って……』

『あの二人……』

 刀の柄を力強く握り



『奴ら、桜を天人に売りやがった』

『なっ!!』

 戦は静かに怒りながら、銀時に事を全て話した。

生ゴミは ちゃんと地獄へ捨てましょう 二→←親が思うほど子は馬鹿ではない 八 終



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設定タグ:銀魂 , 逆ハー , 愛され   
作品ジャンル:アニメ
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» コメントありがとうございます!ここまで読んでいただきオリキャラも慕っていただきありがとうございます! (5月5日 12時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - いつもありがとうございます。夢主ちゃんも勿論大好きなのですが、ぶっきらぼうでちょっと怖いけど本当は優しいお兄ちゃんも大好きなので、彼の話を心待ちにしておりました。 暑くなってきましたので体調に気をつけてお過ごしください。 (2023年5月3日 12時) (レス) @page39 id: e6fe50ece6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年4月21日 21時

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