死なば諸共、生きたければこそ諸共に 六 ページ19
「はっ、は……ある、ていどは、もどった……かな」
Aは徐々に体の機能が戻ってきて口元の血を手で拭う。
血のついた手を見て、フェンスにもたれかかりながら外を眺める。
「……ハハッ」
Aの口から、乾いた笑い声がこぼれる
「なんだこれ……」
「こんなのただの……バケモノじゃん」
自分で自分のやったこと
できてしまったこと
体に起こったこと
それら全てが自分は人間ではないことを叩きつけるだけだった
「……痛かったァ」
ボソッと呟く
その声に乗るのは痛かったことへの辛さではない、別の辛苦
「でも、だって……こうするしか、なかった……こう、したかった」
小さく声がどんどんこぼれていく。
『誰かのために痛みを請け負うなんざ、弱ェヤツのすることだ』
「言われた、ばっか……なのに。ごめ……なさ……土方さん」
『変じゃないでさァ。それが、アンタの良さの一つになるんですからねィ』
「ごめん、なさい……沖田、くん」
『笑っててって言ったのに』
「ごめ……なさ……ミツバちゃ……」
(私がやったことはーー)
「なに謝ってんですかィ」
沖田の声がして、彼はパシッと後ろからAの頭を激辛せんべえの袋で軽く叩いた
「……私、やっちゃいけないこと、しちゃった」
Aは自分のやったことが化け物染みていて、そんな姿を総悟に見られたくなくて顔を背けた
「私の力は、人の人生を変えてしまうものなんだ……」
こぼれ落ちるAの声は震えて露に濡れていた
「私、超えちゃいけない一線を、超えちゃったッ……」
Aは気持ちを押し殺すように唇を強く噛むが、その目からは抑えきれずに涙が大量に流れる。
人の人生を大きく変えてしまった。
死ぬはずだった人間を
生かしてしまった
それは人間にはできない
普通の者ではなし得ないこと
バケモノにしかできないこと
それはすなわち
彼女が『人間ではない』ことの明確なる証明となった。
総悟は少し黙っていたが、口を開いた
「……アンタは、姉上を助けたことは間違いだと思ってるんですか」
Aは首を横に振る
「アンタは、姉上に死んでほしくなかったんでしょう」
彼女は小さく頷いた
「でもそれは……私だけの願い。私だけの、ただの、わがまま……ミツバちゃんの気持ちなんて、なに一つ」
「姉上は」
総悟が彼女の言葉を遮った
「姉上はアンタがいてくれたから、これからの幸せがあるんですよ」
死なば諸共、生きたければこそ諸共に 七 終→←死なば諸共、生きたければこそ諸共に 五 ※原作改変注意
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刹那＊桜(プロフ) - アイナさん» いつも読んでいただきありがとうございます！これからも頑張っていきます- ̗̀ ( ˶'ᵕ'˶) ̖́- (2023年3月18日 21時) (
レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - いつもありがとうございます。これからいつものメンバーにたまちゃんが加入するんですね！機械である彼女が夢主ちゃんにどんな反応をするのか、楽しみにしています。 (2023年3月18日 20時) (レス) @page30 id: e6fe50ece6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：刹那＊桜 | 作成日時：2023年3月13日 1時
