死なば諸共、生きたければこそ諸共に 四 ページ17
グッとAはミツバの手を握ってうつむいた。
『A。あなたには、才能として強い力があります』
昔、まだ彼女が小さい頃
歩む道を線引いて先導してくれる師が
吉田松陽が彼女に告げた。
『その力は、使い道を間違えれば周りの人たちの人生を大きく変えることになる』
『じゃあ、力は使っちゃ、ダメ?』
『いいえ……あなたが必要だと感じるのなら、それを使いなさい。ただしそれは、決して人を傷つけるために使ってはいけない』
『例えどんな力を持っていても、他の人とあなたは何ら変わりない。あなたは、したいことをして、生きたいように生きなさい。それは他の人と同じーーあなたに許された選択の権利なのですから』
(先生……私、どうしたら良い……?)
選択を与えられるということは、何も考えずに指示されて動くよりも難しいことだった。
その選択を取った責任が覆い被さる。
ミツバの人生を「生」へと書き換える責任が。
(先生だったら、こんなとき、どうする……?)
(教えてよ、先生……)
『その選択が間違っているのなら、きっと周りが貴方を止めてくれるでしょう。例え顔を殴ってでも、貴方を引き戻す……私も、その一人ですからね。A』
彼女がもし、これ以上の人生を望んでいなかったら?
もし、それが間違いだとしたらーー
(嗚呼……考えれば考えるほど、答えが一つしか出てこない)
(私は、ひどい人だ)
うつむいて唇を噛み締めるAに、ミツバは眉を下げた。
(ああ……そんな顔しないで、Aちゃん)
彼女の手に触れていれば少しは楽だが、徐々に呼吸が苦しくなっていく。
(そばにいたい。弟の……)
視線が総悟に向き
(彼の……)
脳裏に浮かぶは土方の姿。
そして
(ーー彼女の、そばに……)
隣で手を握るAに視線を移した。
泣きそうになって震える彼女の手は、温かい。
ミツバの冷たくなっていく手に熱を与え、自らの手を冷やしていく。
それでも絶対に離さないと強く握っていた。
ミツバの瞳が揺れる。
(本当に……優しい子)
ーー自分事のように苦しむ彼女に、笑っていてほしい
(嗚呼、どうしよう……)
ーー笑っている彼女の、隣にいたい
《どうしよう……私……》
Aとミツバの思いが重なる。
ーー生きたい
ーー生きていてほしい
ボロボロと二人の目から涙があふれる。
それに応えるかのように
Aの体から緑の光が強く放たれた。
死なば諸共、生きたければこそ諸共に 五 ※原作改変注意→←死なば諸共、生きたければこそ諸共に 三
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» いつも読んでいただきありがとうございます!これからも頑張っていきます- ̗̀ ( ˶'ᵕ'˶) ̖́- (2023年3月18日 21時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - いつもありがとうございます。これからいつものメンバーにたまちゃんが加入するんですね!機械である彼女が夢主ちゃんにどんな反応をするのか、楽しみにしています。 (2023年3月18日 20時) (レス) @page30 id: e6fe50ece6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年3月13日 1時