爆砕 四 ページ42
足音が聞こえて、何かが飛んでくる気配がする。
「！」
彼はすぐに後ろに下がるが、目の前を勢いよく刀が通り過ぎその先の壁を破壊した。
ドゴォォと強烈な破壊音が響き土煙が舞う。
「ッ、この力……」
刀が飛んできた方向から人影が見えた。
しかし見なくても分かる。
今のような強烈な一撃を放てるのはたった一人
「A……」
服を自身の血で赤く染めたAは、刀で貫かれたはずの腹の傷はなく歩いてきた。
「殺してはいなかったのか。いや、コイツらにも殺せなかったのか……どちらにせよ良かった」
戦は安堵して大きく息をつく。
しかしAの目つきが殺気を帯び、その矛先が自分に向いていることは戦も理解していた。
「Aと戦えるなら絶好の機会だが……あいにく万全の状態じゃねーんだよなァ。悔しいことに」
戦はAと闘うことではなく、内臓に骨が刺さった状態でAと闘うことに対して不満を覚えていた。
「本当にテメーは戦闘狂だな。殺されるかもしれねーってのによ」
「……殺せねーよ。Aに俺は、殺せねえ」
戦がAをしっかり見つめてフッと笑うと彼女は少し驚いた顔をした。
しかしすぐに顔色を悪くしてふらつく
「Aッ！」
戦が彼女のもとに行こうとするが、それより先に闘星がAを支えた
「あーあ、お前が俺をぶった斬り続けるから。A大丈夫か？」
「っ、うん……」
闘星がAを抱きしめているもので戦は額に青筋を浮かべていた
闘星の発言の意味が理解できずに苛立って
「オイ。どういうことだそれ」
「Aの漏れ出たアルタナが原因で、俺たち十人の星人が蘇生してしまった。俺たちは傷を回復するにも力の根源であるアルタナを消費するが……そのアルタナの根本的な供給源はAだ」
つまり、戦が闘星を傷つける度に回復して消耗されたアルタナはAのもの
戦は絶えず攻撃を、しかも致命傷を与え続けていたため膨大な量のアルタナが使われてしまった
「俺たち十人は同時期にアンタらと交戦している。十人それぞれにアルタナが使われ、一気にAの力が減らされていたところに、お前が余計なマネをしてアルタナの枯渇を加速させたんだよ」
「なっ……」
Aの中のアルタナは、ほとんど消費されてしまって生成が間に合わない状態になっていた
そこで戦がさらに追撃をしてしまったせいで足りない分はA自身の体力を削ってアルタナを生み出していたのである
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作者名：刹那＊桜 | 作成日時：2023年2月26日 20時
