紫煙 八 ページ32
スッと高杉が床に差した刀で体を支えつつ顔を近づけてきた。
彼の髪がAの顔にかかり、緑色の瞳と赤い瞳が見つめ合う。
『お前を孕ませたい』
ポツリと呟かれた言葉に、Aの耳が真っ赤に染まった。
『悪化しとるがなァァァ!! 大人ァ!高杉君、大人ァ! もうちょっとそのエ ロを押さえてよ!! ていうか今まであえてツッコまなかったけど何で刀で脅してくんの!? 怖いよ!』
嫌がる彼女にゲシゲシと蹴られて高杉は仕方なく離れた。
『チッ……手足切り落としてでも襲えたら一番いいんだが』
『怖いこと聞こえたよ。もうこの人、斬っていいかな……だいたい、こういうことするんだし。その、ちょっとは好いてくれてるんでしょ? だったら何で斬ろうなんて選択肢出てくるの』
相手が自分を好いている前提の発言で、Aは少し言いにくそうにした。
高杉はフッと笑う。
『俺はお前が相手なら何でもできる。お前を殺そうとする奴の首は飛ばせるし、お前が嫌がっても、快楽に歪んだ顔を見られるなら手足を落としてもいいとさえ思う』
『お前が俺の敵になるなら、黙らせる口実も無理やり襲う口実もできる。最高の状況なんだが』
『いやコワッッ!敵にはならないよ。絶対襲われてやんないんだから』
『それは分からねえだろ。いつか時が経って、俺たちゃ別の道に進むかもしれねえ。その時、俺たちは敵同士になってることもあり得るだろ』
高杉が外を眺めて言えば、Aは黙ってしまう。
『……ないよ』
彼女も部屋の外を眺め、少し間を開けて否定した。
ちらりと高杉の視線が彼女へ向く。
『何で言い切れる』
『……立場的にはそうなったとしても、私は絶対に高杉君の敵にはならない。だって……』
『高杉君は、大事な人だから』
にっこりと笑うAに
高杉は見惚れてしまった。
その笑う口を、自分のもので塞ぎたい衝動に駆られて
ガッと彼女の腕を掴んだ。
『ッ!!高杉君いい加減にっ』
『お前が』
Aの怒りを遮って高杉は彼女の顎を持ち上げた。
『お前がもし敵になったとしたら。そのときは俺がーーお前を死ぬまで犯 してやるよ』
ーー
高杉は思い出し笑いして口角を上げた。
「やっと、その時が来たな。A」
「ッ!」
笑う高杉に少し戸惑いながら、Aは彼の攻撃を避けて蹴りを入れる。
しかし、その足は刀で防がれる。
「ゔっ……」
刀の刃先で防がれたもので、足が切れてAは痛みに眉を寄せた
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年2月26日 20時