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船弾 一 【坂本】 ページ16

散りゆく命の海で、

 私は一際大きな声を聞いた。

『A!!』

 その声は、私を呼んでいた。

『わしがおまんを護っちゃる。だからA、そないな顔するんじゃなか』

 その人は私の

 体温(ぬくもり)として身体に注ぎ込まれた。

『坂本君。もし私が敵方になったら、坂本君はどうする?』

 そんな意地悪な問いに彼は……

ーー

 誰かが船の操作ミスをして、ターミナルに宇宙船が一隻、突っ込んでいた。

「アッハッハッ!また失敗したぜよ!」
「笑い事じゃないじゃろ。どうするんじゃこれ」

 操舵室で、陸奥は自分の上司、モジャモジャ頭の坂本をはたいた。

「いやまあ、さいわい民間人は少のうたし被害もあんまり出んじゃろ」
「わしらの財布の被害が甚大じゃ。いくら賠償で取られると思うとる」

 陸奥は大きくため息をつき念の為、船の中の安全確認だけ済ませる。

 エネルギーが漏れ出ていれば爆発を起こすかもしれないからだろう。

 坂本が壊れた舵で遊んでいると、後方の乗務員室が騒がしくなって男たちが慌てふためいている声が聞こえた。

 坂本と陸奥は不思議そうにそちらへ目を向ける。

「何じゃ?騒がしいな。火器が近くにあって二次災害でも起きたか?」

 陸奥が面倒くさそうに呟くと、

 ガン!と操舵室の扉が蹴破られた。

『!!』

 坂本と陸奥が驚いてそちらを見れば、扉を蹴破った人物が柔らかい笑みを浮かべていた。

 少し長いクリーム色の髪を後ろで結い、黒い眼鏡をかけている。

 その黒い瞳は嬉々として坂本を見ていた。





「いきなり押しかけてごめんなー。ちょっとそこのモジャモジャ頭に話があんねん」

 関西弁の彼は、状況こそ訳がわからないが声は優しく、穏やかそうな雰囲気をまとっている。

「何じゃ?わしは西の知り合いはあんまりおらんぜよ。というより凄い方言きついのー」

「いやそれこっちのセリフでもあるで。アンタの方が訛ってると思うわ」

 方言に言及されて男は頭をかいた。

「あ、そうや自己紹介せなな」

 男は思い出したようにして、二人の前で胸に手を当てた。

「俺は月星(つきぼし)。月なんか?星なんか?ってツッコまれたら、なんも言い返されへんから言わんとってや」

 彼はにっこりと笑って

「よろしゅう、な」

 懐から銃を出して坂本に放った。

船弾 二→←兎は飛ばないが、跳びはする 四 終 イラストあり



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設定タグ:銀魂 , 逆ハー , 愛され   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年2月26日 20時

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