綺麗な薔薇には棘がある 八 ページ10
「晴太。ぬしはその日輪が命を賭して護ろうとした存在」
吉原で子を生めば、その母も子も始末される。
吉原から抜け出せば、地の果てまで追い詰められ必ず始末される。
それでも晴太は、地上に連れ出されたのである。
豪雨の中、地上に出た日輪は橋の上で追手と鳳仙に囲まれてしまった。
しかし生まれたばかりの晴太をお爺さんに預けて彼らを橋の下に隠していた。
それでも、鳳仙には二人の居場所がバレていた。
二人を見逃すことも、二人を殺すことも鳳仙にとっては容易なこと。
全ては日輪の返答次第。
日輪は、自らを鳳仙に差し出し息子を護ったのである。
「日輪にとって晴太……ぬしも特別な存在だったのじゃ」
「太陽は晴天でなければ輝けぬ。わっちはぬしを死なせるわけにはいかぬ。それに
話を聞いて晴太は何も反論できず唇を噛んだ。
「……オイ」
銀時は何かに気づいて声を上げた。
「心遣い痛みいるがね。どうやらもう……手遅れらしいぜ」
銀時たちの目の前には、番傘を持った黒服の男がいて
「!! 傘……まさかあれは、夜兎!?」
神楽は番傘を見て驚き目を見開いた。
男が傘を上げれば、長めの金髪に若干死んだ目つきの渋い顔が覗く。
「な、なんでこんな所に夜兎族が!?」
「どうやらせっかく用意してくれたアンタの逃げ道も手が回っていたようだぜ」
「違う。あれは……鳳仙の回し者じゃない」
「ガキをよこせ」
男の言葉を聞いて月詠がクナイを構える。
「そのガキを、こちらによこせ」
緊迫した空気が流れ、神楽は汗を浮かべた。
「ぎ……銀ちゃん。ヤバいアル。アイツ、とびきりヤバい匂いがするネ。血の匂い、幾多の戦場を生き抜き染み込んできた血の匂い」
ーー本物の、夜兎の匂い。
男が地を蹴り一気に距離を詰めて晴太を狙う。
しかし月詠がクナイを大量に投げつける。
男が番傘でそれを防いでいる隙に、月詠は跳び上がって男の背後に回り顔に向かって勢いよくクナイを放った。
しかし、男はクナイを歯で受け止めていて。
咥えられたクナイにヒビが入る。
「なっ」
男は月詠の顔を掴み、通気口に叩きつける。
咥えたクナイを使って目下の月詠を切り付けるが、彼女はそれをクナイで受け止めた。
「月詠さんんん!!」
「早く!!今のうちに逃げろ!!」
助けに来ようとした新八を牽制し月詠は逃げるよう命令した。
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» コメントありがとうございます!いつもご愛読いただき嬉しいです!この先も楽しんで読んでいただけるよう頑張ります(ง •̀ω•́)ง✧ (2023年1月29日 22時) (レス) @page14 id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - 続編突入おめでとうございます!今回多めな戦闘シーンも、夢主ちゃんが毎回どのように強さを見せつけてくれるのか、周りがどう反応するのか、楽しみにしております。まだまだ寒いので体調に気をつけて頑張って下さい! (2023年1月29日 18時) (レス) @page14 id: e6fe50ece6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年1月28日 13時