綺麗な薔薇には棘がある 七 ページ9
二十年前、侍と天人の争いで元々地上にあった吉原は姿を消した。
しかしその吉原の商売利益に目をつけた天人たちが売淫御法度の時勢に幕府を乗っ取り、地下で復活させたのが吉原桃源郷の成り立ちである。
公にできない政治の秘事を語る場所として利用されることも多い。
花魁ともなれば国を左右しかねない情報の一つや二つ知っていてもおかしくはない。
ゆえに遊女たちは一度入ったが最後、お天道様を拝むことは二度とない。
女たちは商品として扱われ、地下に繋がれ使い物にならなくなるまで酷使される。
商品としての価値がなくなればのたれ死に、逃げ出そうとすれば始末される。
「ここが常夜の街と呼ばれるのは色里を指してのことではない。この街に売られて初めて知った」
終わることのない絶望に遊女たちが
月詠が幼い頃、吉原の姉貴分に突っ掛かり反撃を受けて捕縛され折檻部屋に送られたところ、日輪がおにぎりを持ってきた。
月詠は殺したきゃ殺せと喚くが
『喚いて逃げ回ってる暇があったら、檻ん中で
日輪の目は、死んでいなかった。
その後、月詠をいびっていた遊女に日輪が喧嘩を売りボコボコにされ折檻部屋に送られた。
彼女の元に、月詠はおにぎりを持っていった。
そんなことをすれば月詠も折檻されかねないが、彼女は自分が日輪から渡されたおにぎりを返しただけだと言い張った。
『……ちょいとこっちに来て食べさせてくれないかい？手が使えないんだ』
彼女は折檻部屋の扉を背中合わせに、外にいる月詠に頼んだ。
『いいの？』
『構やしないさ』
日輪は月詠に食べさせてもらいながら話をした。
『遊女見習いの幼女、
それから、遊郭に反抗的だった月詠は日輪に仕えて彼女の世話役に努めた。
「常夜の闇の中にいたわっちに、小さな太陽ができた」
それは月詠だけでなく、死んだような目をした女たちも日輪の陽気な笑顔に触れるときだけは自然と顔が綻んだ。
「やがてその小さな太陽はこの吉原を照らす大きな光となった。それが、日輪」
月詠は自身の頬の傷跡に触れる。
「己の顔を傷つけ女を捨てたのは遊女になるのが嫌だったわけでも、百華として吉原を護るためでもない。日輪を護るためじゃ」
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刹那＊桜(プロフ) - アイナさん» コメントありがとうございます！いつもご愛読いただき嬉しいです！この先も楽しんで読んでいただけるよう頑張ります(ง •̀ω•́)ง✧ (2023年1月29日 22時) (
レス) @page14 id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - 続編突入おめでとうございます！今回多めな戦闘シーンも、夢主ちゃんが毎回どのように強さを見せつけてくれるのか、周りがどう反応するのか、楽しみにしております。まだまだ寒いので体調に気をつけて頑張って下さい！ (2023年1月29日 18時) (レス) @page14 id: e6fe50ece6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：刹那＊桜 | 作成日時：2023年1月28日 13時
