月夜に歌を詠む 六 ページ29
月詠の右腕にクナイが当たり、彼女は自分のクナイを落としてしまう。
大きな隙ができて大量のクナイが月詠に襲いかかってきた。
が、しかし
クナイは月詠に突き刺さることはなく金属音を鳴らして全て弾き飛ばされた。
弾き飛ばした人物は、月詠の前で短刀を握っていた。
「ぬし……なぜここに」
月詠の驚いて見開かれた目に映るのは、長い黒髪に青い瞳の遊女
「星影……ぬしは日輪と晴太の所に行ったんじゃ」
「
星影は振り返ってにっこりと笑った
前にいる百華たちも彼女が出てきて驚いていた
「ほ、星影様まで裏切りを……」
「裏切り、というか。皆も気づいてたんじゃないかな、私が
星影は眉を下げて苦笑いした
「裏切りというよりは元からそちら側にはついていなかっただけだよ」
「ぬしは本当に……体裁を気にしない、な……」
月詠は先ほどからの攻撃でクナイが刺さり続けていたからか血を吐いて地面に膝をついた
「!!月詠ちゃん!」
「案ずるな。ぬしが護ってくれたお陰で致命傷にはなりんせん」
月詠は視線を落として口を開いた。
「わっちは、ぬしに護られてばかりじゃ」
「そんなこと……」
グッと拳を握って月詠は言葉を吐き出す。
「ぬしのように鳳仙に抗することもせず、奴を恐れるあまり変わることも変えることもできずに己が心に檻を張ったのじゃ」
「己の身のかわゆさ故に檻の中に閉じこもり、その檻を必死に護っておった。羨ましいとさえ思うた。抗う力を持つ星影が、その勇気と意地が……」
月詠の言葉を聞いて星影は眉を下げる。
「護るなど全ては言い訳。逆らっても仕方がない、日輪のためだから仕方がないと……わっちは、己の臆病さを隠すために日輪を利用したんじゃ」
「日輪のために好きに動く星影を、わっちは裏から助けていると思うておった。じゃがそれは、ただ星影の盾に護られて、その傘の下で
歯を噛み締め、震えながら立ち上がる。
「日輪……わっちは、もう逃げん」
「星影、わっちはもう、
足に力を込めて、踏ん張って立ち上がった。
「最後の最後まで、太陽に向かってまっすぐ立ち続ける」
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» コメントありがとうございます!いつもご愛読いただき嬉しいです!この先も楽しんで読んでいただけるよう頑張ります(ง •̀ω•́)ง✧ (2023年1月29日 22時) (レス) @page14 id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - 続編突入おめでとうございます!今回多めな戦闘シーンも、夢主ちゃんが毎回どのように強さを見せつけてくれるのか、周りがどう反応するのか、楽しみにしております。まだまだ寒いので体調に気をつけて頑張って下さい! (2023年1月29日 18時) (レス) @page14 id: e6fe50ece6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年1月28日 13時