ケンカの横槍は危険 二 ページ22
「さすが、かつて夜兎の頂点に立った男。下剋上ってわけにはいかないようだね」
「フン、下剋上?笑わせるな。貴様には上も下もあるまい。あるのは、強いか弱いかのみ」
「弱き者は意にも介さんが強き者は例え誰であろうと、師のわしであろうと牙を向く」
「それが夜兎の血というものですよ。古くからより強き者を、強き力を求め戦場をさまよってきた。だから、大概の星人族は温厚なはずが俺たちの
星人が絶滅したのはAが五歳ほどの頃、おおよそ二十年以上前である。
神威の生まれる前であったが、それでも星人の事は伝承として彼の耳に入っている。
「俺が実際に見る前に絶滅しちゃったけど、アンタはそれを知っている」
羨ましい限りだ、と神威の声に羨望と怒りと殺意が被さる。
「酒と女に溺れその血まで渇いてしまいましたか……今の貴方に勝っても面白くないや。思い出してください。己の中に流れる修羅の血を」
「黙れ」
鳳仙は自分の中の獣が呼び起こされるのを拒絶した。
「貴方の居場所はこんな所じゃない」
「黙れと言っているんだ」
「貴方の居場所は」
神威が言い終わる前に、鳳仙は彼を勢いよく部屋の方へ投げつけた。
爆音と土煙が広がり、煙の中から神威が飄々と出てくる。
「俺たちの居場所は、
神威が外まで戻ってきて、鳳仙と見合い一瞬の静寂が生まれる。
「おおおお!!」
静寂を突き破る雄叫びと共に二人同時に踏み込んだ。
しかし二人の拳がぶつかることはなく、間に割って入った云業と阿伏兎に止められた。
止められたとは言っても、神威の手は云業の番傘を突き抜け彼の心臓を穿ち背中に貫通している。
鳳仙の拳も、阿伏兎の番傘を突き破って彼の左腕を引きちぎっていた。
ドサッと阿伏兎の腕が地面に落ちる。
「そこまでだ。二人とも落ち着いてもらおう」
左腕から血を流しながらも、阿伏兎は平静のままだった。
神威は云業の体から手を抜き、ニコニコとした顔で血塗れの手を舐める。
心臓を貫かれた云業は絶命し、白目を剥いて倒れた。
阿伏兎は左肩を押さえ苦笑いする。
「腕一本と一人でアンタらの喧嘩とめられれば上出来だ……どうか鳳仙の旦那、こいつの命に免じて団長の不始末を許してくれ」
「残り少ない同族同士で殺し合うのは寝覚めが悪い。俺たちゃアンタと戦争しにきたんじゃねェ。よりよい関係を築きにきただけだ」
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» コメントありがとうございます!いつもご愛読いただき嬉しいです!この先も楽しんで読んでいただけるよう頑張ります(ง •̀ω•́)ง✧ (2023年1月29日 22時) (レス) @page14 id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - 続編突入おめでとうございます!今回多めな戦闘シーンも、夢主ちゃんが毎回どのように強さを見せつけてくれるのか、周りがどう反応するのか、楽しみにしております。まだまだ寒いので体調に気をつけて頑張って下さい! (2023年1月29日 18時) (レス) @page14 id: e6fe50ece6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年1月28日 13時