吉原第二席に鎮座する戦乙女 八 ページ19
天井に突き刺さっていた人の体がドサッと落ちる
その体、鳳仙が殴り上げたのは遊女だった
血塗れでおそらく死んだであろう遊女を気にせず、神威は目を伏せて話を続けた
「そんなんじゃ、俺のこの渇きはどうすればいい?女や酒じゃダメなんだよ。俺はそんなもの要らない。そんなもんじゃ俺の渇きは癒えやしないんですよ」
「だから会いたくなったんだ。遊女なのに武神なんて呼ばれるほど舞を極めた女に」
「見てみたくなったんだ。体を売らないのに、吉原中の女や男全てから
「ヤりあってみたくなったんだ。 アンタが何度も戦ってーー今まで一度も殺せていないという女に」
彼が少し目を開ければ青い綺麗な瞳が覗くが、その下は興奮で口角が上がり異様な気配を出していた
黙っていた鳳仙が、喉を鳴らし声をあげて笑った
「クク……お前でも、アレの手綱を操ることはできんぞ。奴は人の身でありながら、我らの遥か先にいる」
「へェー……そういわれるのは星人くらいだけどね。アレはもう昔に絶滅しちゃったし……惜しいなァ。どんな強者相手にも決して負けることはない宇宙最強の種族……アンタは随分とやりあってきたみたいだけど。俺も星人と闘ってみたかったよ」
神威が星人の話をすれば鳳仙は笑うだけで、星影の話をしない
鳳仙は星影が、星人であると勘付いていた
しかしそれを神威に伝えないのはひとえに、自分の獲物を
「それに奴は、力だけで見ていい相手ではない。長く美しい黒髪に青い瞳、整った顔立ちと立ち姿はどの女よりも気高く価値のあるものだ」
「……へェ。体を売らずに二席にいるくらいなんだから、やっぱり綺麗な人なんだね」
神威はそう返すが、少しして
「ん?」
と声をもらした
(長い黒髪に、青い目……?)
ニコニコとしている笑みの中で、神威は先ほど戦った遊女を思い返した
長い黒髪をなびかせ、青い瞳でこちらを殺気高く睨んできていた、遊女のわりに異常に強い女。
「もしかしてアレが星影サンだったのかな」
頭の中で星影の情報と先ほどの遊女との戦いが繋がった。
「だったらホントに惜しいことしたな。あのままもっと戦えばよかったよ……」
あちゃーと顔に手を当てて神威は残念そうにしていた。
鳳仙はそんな彼を見て眉を寄せた。
(あの女、やはり童の側につきおるか」
鳳仙が晴太を見やれば、彼はビクッと体を震わせた。
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» コメントありがとうございます!いつもご愛読いただき嬉しいです!この先も楽しんで読んでいただけるよう頑張ります(ง •̀ω•́)ง✧ (2023年1月29日 22時) (レス) @page14 id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - 続編突入おめでとうございます!今回多めな戦闘シーンも、夢主ちゃんが毎回どのように強さを見せつけてくれるのか、周りがどう反応するのか、楽しみにしております。まだまだ寒いので体調に気をつけて頑張って下さい! (2023年1月29日 18時) (レス) @page14 id: e6fe50ece6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年1月28日 13時