吉原第二席に鎮座する戦乙女 九 終 ページ20
「……その様子だと既に星影に拳を入れられたようだな。貴様の右腕はそのせいか」
「そうだよ。骨を折らずに麻痺だけ残すなんて器用な人だ。しかも手加減されてるのに、あまりすぐには完治しない……これで全力出されてたら一体どうなってたんだろうね」
神威は自分の怪我なのにニコニコと笑っている。
「あの拳を見ても、いや……見たからこそ惹き寄せられる。兎の性分が体から漏れ出ておるようだな」
笑う神威に鳳仙は口角を上げる。
同時に二人の体が動き、神威が蹴りを入れ鳳仙が手の突きを放つ。
ガッとお互いに体で相手の攻撃を押さえれば、数的の血が畳にこぼれて染みを作った。
鳳仙の目が血に飢えて笑う。
神威の目がゆっくりと開き
「修羅が血。己と同等、それ以上の剛なる者の血をもって初めてーー俺の魂は潤う」
口角の上がった顔には獣の目がギラついていた。
「ククク……
鳳仙が昔、夜王と呼ばれ夜兎の頂点に君臨したとき、星海坊主はたった一人で彼に挑んだ。
戦いは激化し二人は三日三晩、打ち合い続けた。
「あれほど長く対峙し、決着がつかなかった相手は奴が初めてであった。
鳳仙と星海坊主の戦いは、星海坊主が「ウンコしたい」と言ったことで終焉となったが。
もしその場に星影がいたとしたら、恐らくそれ以上に殺し合いは続いていただろうと鳳仙は過去を思い返す。
「星影はそれほど強い相手だ。貴様の父と並び、超えねば奴は確実に倒せぬ相手……神威、貴様に父が超えられるか」
「もうとうに超えてるよ」
神威の目は弧を描いたままで
「家族だなんだとつまらないしがらみに囚われ、子供に片腕を吹き飛ばされるような脆弱な精神の持ち主に真の強さは得られない」
「旦那、あなたもあの男と似ているよ。外装はゴツくても中身は酒と女しかない。真の強者とは、強き肉体と強き魂を兼ね備えた者」
「何者にも囚われず強さだけを求める俺に、あんた達は勝てやしないよ。
「ぬかせェェ！！小童ァァ！！」
神威と鳳仙が同時に攻撃を仕掛ける。
「止めろォォ団長ォ！！」
阿伏兎は同族同士の闘いを止めようとするが、二人の拳が衝突して轟音を立て、彼の声もかき消されてしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 107人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
刹那＊桜(プロフ) - アイナさん» コメントありがとうございます！いつもご愛読いただき嬉しいです！この先も楽しんで読んでいただけるよう頑張ります(ง •̀ω•́)ง✧ (2023年1月29日 22時) (
レス) @page14 id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - 続編突入おめでとうございます！今回多めな戦闘シーンも、夢主ちゃんが毎回どのように強さを見せつけてくれるのか、周りがどう反応するのか、楽しみにしております。まだまだ寒いので体調に気をつけて頑張って下さい！ (2023年1月29日 18時) (レス) @page14 id: e6fe50ece6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：刹那＊桜 | 作成日時：2023年1月28日 13時
