子は母の腕で泣く ニ ページ47
「……何を、言ってるんだ」
「吉原の花形たる花魁が、誰にも露見することなく子を産むなどできるわけがあるまい」
八年前、一人の遊女が子をはら んだ。
吉原では子供ごと始末されるため、一部の遊女達はその遊女を匿い、密かに腹の子を取り上げた。
「それがお前だ、童」
晴太の母親は衰弱し、晴太を産み落とすと同時に死んでしまった。
部屋の奥にいる女性は彼の母親ではない。
「母に憧れながら、母になることも叶わない。母親ごっこに興ずるただの哀れな遊女だ」
「……どうして」
部屋の奥から日輪の声が聞こえた。
「どうしてこんな所に来ちまったんだい。何で、こんな所に……」
「常夜の闇からオイラを地上に産み落としてくれた!命を張ってオイラを産んでくれた!血なんか繋がってなくても関係ない!オイラの母ちゃんは
晴太は再び扉に向かって体当たりして開けようとする。
「諦めの悪い童だ。仕方あるまい、黄泉で本物の親と対面するがいい」
鳳仙が晴太に手をかけようとする。
「!」
後ろから何かが飛んできて鳳仙はすぐさま横に避けた。
飛んできたのは木刀で、それは扉にドゴォ!!と勢いよく突き刺さり扉を破壊した。
「うわっ!?」
晴太が驚いていれば破壊された扉から、涙を流す日輪の姿が見えた。
「オイオイ聞いてねーぜ」
後ろから男の声がする。
「吉原一の女がいるって言うから来てみりゃよォ……どうやら
その男、銀時は笑って指を鳴らす。
「店長。新しい娘、頼ァ。どキツイS Mプレイに耐えられる奴をよ」
「……貴様、誰だ」
鳳仙は銀時を見て眉を寄せる。
「なァに、ただの女好きの遊び人よ」
「ぎ、銀さァァァん!!」
「……何してんだアホんだら。俺はいいからさっさと行け」
銀時は晴太に呼ばれてシッシッと手を払った。
「……でも、行っても、いいの?」
晴太は日輪に背を向けながら、目線だけ後ろにやる。
「血も繋がってないのに、オイラみたいな汚いガキが。あんな綺麗な人母ちゃんって、呼んでもいいの?」
「散々ぬかしといて何言ってんだてめーは。呼んでやれ。腹の底から、母ちゃんってよ」
銀時の言葉を受けて、晴太は後ろを向く。
日輪のいる部屋に足を踏み入れ、暗がりのなか彼女に歩み近寄った。
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» コメントありがとうございます!いつもご愛読いただき嬉しいです!この先も楽しんで読んでいただけるよう頑張ります(ง •̀ω•́)ง✧ (2023年1月29日 22時) (レス) @page14 id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - 続編突入おめでとうございます!今回多めな戦闘シーンも、夢主ちゃんが毎回どのように強さを見せつけてくれるのか、周りがどう反応するのか、楽しみにしております。まだまだ寒いので体調に気をつけて頑張って下さい! (2023年1月29日 18時) (レス) @page14 id: e6fe50ece6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年1月28日 13時