星の数ほどいるバケモノの王 六 ページ37
「だ、だめだ。このままじゃ星影さんが……」
血を流す星影に新八が焦ったように言う。
しかし阿伏兎はフッと笑った。
「心配いらねェよ小僧。ありゃ……」
星影が再び地を蹴って神楽に殴りかかる。
神楽に避けられて空を切るが、その拳は空気を押し出して強烈な突風を起こした。
「殺す気で殴りかかってる拳だ」
阿伏兎の額から汗がこぼれ伝う。
星影の拳が押し出した空気はそのまま奥の壁をドゴッと粉砕した。
「あの一撃、俺が喰らってたら内臓 木っ端微塵だったぜ。何だあの威力は」
「こ、殺す気って!?だ……ダメです星影さん!!その子は暴走してるだけで!!」
「甘ったれたこと言ってんじゃねーよガキ。相手はあの夜兎、鎖の解かれちまったケモノ。そんなヤツ相手に生かして正気にさせようなんざ、自分が死ぬ道作ってるようなもんだ」
「けど!」
ガン!と大きな音がして新八たちがそちらを見れば
「え……」
善戦していた星影が、心臓を薙刀で貫かれていた。
(終わったな……)
阿伏兎はそう結論づけた。
が、
星影は薙刀を掴んで自分の体から引き抜いた。
勢いよく大量の血が噴き出る。
「星影さんんんん!!」
「ゲホッ……大丈夫大丈夫。これくらいじゃ、死なないよ」
『!!』
薙刀に貫かれて開いた穴が小さな音を立てて塞がっていく。
阿伏兎と新八はそれを見て目を見開いた。
「なっ……ど、どういう……」
新八が驚くなか星影は薙刀を遠くに放り投げ、神楽が殴りかかってくるとそれを避けて腹に蹴りを入れた。
「まさか……こいつァ……」
阿伏兎は星影の戦況を見てある考えが脳裏をよぎった。
(あの治癒速度、あの戦闘能力、極め付けは……)
星影が懐からクナイを出すと、その黒い刀身に紫の線が刻まれた。
その線に阿伏兎は目を見開く。
「まさか、ホントに生き残りがいたなんてな……」
阿伏兎は口元は笑っているが、その口角は引きつり青い顔をして額から汗を垂らす。
「オイオイおたくら……とんでもねェーバケモン飼い慣らしてんじゃねェか」
(団長……どうやらハズレを引いたのは、俺だったらしい。いや、あんたにとっちゃ……こっちがアタリか……)
「まさか、星人とハチ合っちまうなんてな。俺の今年の運勢は大凶だな」
「!星人って……」
新八は阿伏兎の言葉を聞いて驚いて星影を見る。
「?なんだ、アンタら気づかずに仲間にしてたのか?」
阿伏兎は驚く新八を怪訝そうに見た。
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» コメントありがとうございます!いつもご愛読いただき嬉しいです!この先も楽しんで読んでいただけるよう頑張ります(ง •̀ω•́)ง✧ (2023年1月29日 22時) (レス) @page14 id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - 続編突入おめでとうございます!今回多めな戦闘シーンも、夢主ちゃんが毎回どのように強さを見せつけてくれるのか、周りがどう反応するのか、楽しみにしております。まだまだ寒いので体調に気をつけて頑張って下さい! (2023年1月29日 18時) (レス) @page14 id: e6fe50ece6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年1月28日 13時