吉原第二席に鎮座する戦乙女 三 ページ14
夜兎たちが去っていったその下で、月詠が縄のついたクナイを壁の管に絡ませて落下を防いでいた。
新八が月詠の手を掴み、銀時が片脇に神楽を抱えて新八の手を掴んでいる。
月詠の手から縄が離れ、四人は下の建物の屋根に落下してしまう。
しかし先ほどの遊女が下にいて、最初に気絶した神楽を受け止める。
次に銀時、新八、月詠の順で瞬時に受け止めそっと屋根に下ろした。
「あ、アンタあのまま落下して無事だったのか……」
「それよりもあの子」
銀時はかなりの高さから落下したはずが無傷の遊女に驚いていた。
彼女は自分より神楽をと指をさした。
「そうだ神楽!しっかりしろオイ!」
銀時は慌てて神楽を抱き上げ声をかける。
しかし彼女からは返答はなくて。
「晴太君が……アイツらいったい」
新八がカツラを取って緊迫した表情でつぶやく。
その疑問に、遊女が答えた。
「あれは春雨だろうね」
「!!あの宇宙海賊、春雨!?」
吉原の遊女は親に売られた者も多いが、不当な人身売買によって流れついた者も多い。
そこに深く関わっているのが宇宙海賊春雨だった。
「関わるどころか……吉原の楼主・夜王鳳仙こそ、春雨で幹部を務めていた男。夜王鳳仙は、夜兎の王と呼ばれた男」
月詠の話を聞いて、遊女は眉を寄せた。
新八は夜兎の王と聞いて驚く。
「ヤツは、かつて宇宙最強と呼ばれた星人と戦を起こし、多くの星人を葬ってきた男だ。」
星人の名が出てきて銀時たちや遊女がピクッと反応する。
「あ、あの星人族を……」
銀時と新八はAの戦い振りとその力を思い出し顔を青くする。
「おいおい、宇宙最強を葬るならそいつが宇宙最強なんじゃねーか」
銀時は冷や汗をかいて言うが、月詠は首を横に振った。
「星人の戦闘能力は他の種族と比べて個体差が激しい。奴らは戦いを経ていくらでも強くなるからな。一概に星人の一族より強い、とは言い切れぬ」
「……というか月詠ちゃん、星人のこと知ってたんだね」
遊女が少し驚いた様子で言った。
「ああ、人伝てにな。それこそ、星人のことを知識として詳しく知ったのは鳳仙から聞いたからじゃ。奴はその強さゆえ、様々な者と拳を合わせ、星人なんて希少種の個体差や特質も理解している」
夜王は有象無象の強者がひしめく夜兎の中で一大勢力を築いていた実力者だった。
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» コメントありがとうございます!いつもご愛読いただき嬉しいです!この先も楽しんで読んでいただけるよう頑張ります(ง •̀ω•́)ง✧ (2023年1月29日 22時) (レス) @page14 id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - 続編突入おめでとうございます!今回多めな戦闘シーンも、夢主ちゃんが毎回どのように強さを見せつけてくれるのか、周りがどう反応するのか、楽しみにしております。まだまだ寒いので体調に気をつけて頑張って下さい! (2023年1月29日 18時) (レス) @page14 id: e6fe50ece6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年1月28日 13時