手の届かない太陽と星 八 ページ47
「星影様は容姿は完璧だったので元々、皆あの子がすぐ上に行くだろうとは思っていました。けど、彼女は私たちの予想を遥かに上回る速度で上り詰めた。今ではここの二位……ですが本来なら、日輪様を追い越すくらいの勢いだったんですよ」
当時の様子を思い返して、少し悩ましげに眉間を押さえた。
「けどそいつはまだここの最高位じゃなく二番手なのか?」
「ええ、ここの管理者の都合もありますが……何より星影様の一晩は、ちょっと特殊だから」
「特殊……?」
銀時はそれを聞いて頭の中でアブノーマルなそういうことを考えていて。
「もちろん営みが特殊ということではありませんよ。彼女はそもそも――体を売らないんですから」
「……は?」
銀時は口を引きつらせた。
遊郭で体を売らない遊女とは如何なるものか。
「体は売らねーのに二位の座につくってことは、芸事でも見せてんのか?」
「はい。星影様はお客に、武舞を見せているんです。それもただの舞ではなく……鍛錬を重ね極めの境地にいたった真に強い者の動き。さらながら武神」
「決して男と絡みはせずに舞だけを魅せる。触れようとしてくる者は自ら迎撃して追い返す。普通であれば許されないものですが、彼女だけは自らの規則を確立してそこに立っているんですよ。お侍や
星影のその城壁は誰にも砕けない
戦えばこちらが確実にやられてしまう
もちろん追い出すとはできるのだが、彼女は金に羽振りのいい者や高級客から広く需要がある。
ヘタに追い払えば現在の吉原の収益を激減させ、また客からの反感も買ってしまう。
A自身は吉原を攻撃していないものの、触りつつけば吉原崩壊につながる。
傍若無人に振る舞う彼女は、いつのまにか住み着いた異物、厄介な外来種だった。
「なあそれって……」
銀時はその話を聞いてとある人物を思い浮かべた。
少し汗を流し、茶屋娘の肩を掴む。
「そいつ、黒い短髪に目は赤の女か?」
「えっ?いえ……星影様は髪は黒いですけどかなり長いですし、目は青ですよ」
肩を掴まれて娘は驚きながら答えた。
その返答に銀時は予想が外れて手を離した。
「そ、そうか。知り合いの特徴と似てたんだが。悪い、人違いだった」
女で武の神などと呼ばれる人間は、銀時の中ではAしかいない。
また彼女が危険な場所に手を突っ込んで何かしているのではないかと思ったらしい。
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» あけましておめでとうございます!10個目でも見に来てくださって本当に嬉しいです。ありがとうございます! (2023年1月6日 4時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - あけましておめでとうございます。そしてシリーズ数二桁突入おめでとうございます。今年もぜひ、夢主ちゃんとお兄様の活躍と銀魂キャラたちの奮闘を拝見させてください! (2023年1月2日 10時) (レス) id: 503469204d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年1月1日 3時