手の届かない太陽と星 六 ページ45
おじいさんが死の間際に、晴太にあることを伝えた。
『お前は捨てられたんじゃない、救われたんだ。お前の親は、闇の中からお前を救ってくれたんだ』
『誇りに思え。お前の母は今も常夜の闇の中、一人日輪の如く
「母ちゃんかもしれないんだ」
「あの人、オイラの母ちゃんかもしれないんだよ!!」
晴太は感極まって強くカウンターを叩いた
皆、晴太の話を聞いて真面目な顔つきになり部屋の中が静かになった
「会いたいんだ。会って話がしたいんだよ。でも何度呼びかけても、あの人はオイラを見ようともしない。手なんか、まるで届かないんだ」
(晴太君。それは多分……)
Aは何か知っているのか心の中で呟くが、口には出さない。
「だからオイラ、たとえ一時でもあの人に会おうと、客としてあの人を買おうって。それで、必死でお金を手に入れようと泥棒なんてバカなマネまで」
うつむいて涙をこぼす晴太に神楽と新八は眉を下げた
お登勢はタバコを咥え目を伏せる。
「本末転倒だよ。母親に会うためにそんなマネして。母ちゃん喜ぶと思うのかい……働いていきな。ここで」
お登勢はタバコを口から離して口角を上げる。
「花魁買えるだけの金なんて出しゃしないがね。少しは足しになるだろうさ」
お登勢は少し眉を下げ、優しい顔で言った。
「だからスリなんて、もう二度とするんじゃないよ」
彼女の言葉で、晴太は涙を流して唇を噛んだ。
「……がとう。ありがとうございます!!」
泣いている晴太の肩を銀時がポンと叩く。
「俺の財布の十万もしっかり稼いでくれよな」
「だから空っぽだったって言ってるだろ!つーかなんでさり気に増えてんだよ!」
「利息だ」
銀時はスナックから出て、ピシャッと戸を閉める。
外を眺めながら、何かを考えていた。
Aは部屋から出て行った彼を見て立ち上がった。
吉原桃源郷の茶屋で、晴太から金を受けていた男がもう一人男と一緒に団子を食べていた。
「あの浮浪児、近頃とんと見かけなくなったな」
「ああ、晴太のことかい。それがどうも最近ちゃんとした奉公先が決まったらしくてな」
「あんな汚ねーガキ雇ってくれる所あったのかよ!」
晴太は毎日男の所に来ることはなくなったが、週一くらいで金をまとめて持って行っている。
「いくら貯まったんだい?晴太が毎日持ってきてた金、茶くらい一緒に飲む金はできたんだろう」
問われて男は黙っていた。
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» あけましておめでとうございます!10個目でも見に来てくださって本当に嬉しいです。ありがとうございます! (2023年1月6日 4時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - あけましておめでとうございます。そしてシリーズ数二桁突入おめでとうございます。今年もぜひ、夢主ちゃんとお兄様の活躍と銀魂キャラたちの奮闘を拝見させてください! (2023年1月2日 10時) (レス) id: 503469204d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年1月1日 3時