好きな相手なら、笑わせてみせろ 一 ページ21
土方は息を荒らげ血を流しながら九兵衛と戦い、銀時は竹藪で猿のように動く敏木斎の罠にかかっていた。
対するお妙は全速力で屋敷の廊下を走り、後ろから女中たちに追いかけられていた。
「お妙ちゃんストーップ!!」
お妙の前に輿矩が立ちはだかる。
「これ以上好きにはさせないよ! ん?ぐふぉ!!」
そんな彼の顔に横から新八が飛び蹴りをして割って入ってくる。
「新ちゃん!」
「輿矩様ァ!」
女中が輿矩の方へ注意を向けている隙に新八はお妙の手を掴んで走り出した。
「新ちゃん!ちょ、離して!」
「うるせェェ!!」
「!!」
「僕はもう姉上の言うことなんて金輪際聞きません!何も言わないで勝手にこんなところに嫁ぎに行ってしまう人なんだ!だったら僕も勝手に姉上を取り返します!」
走りながら躍起になって言う新八にお妙は驚いていた。
「新ちゃん、何も言わなかったのは謝る……でも、もうこんな事はやめて」
お妙は目を伏せて彼を制止する。
新八は逃げた先の一室で足を止めて襖を閉めた。
「柳生家相手にこれ以上無茶したらタダじゃ済まないわ。それに……私の気持ちは、最初から固まっているから」
「姉上はズルい。いつもニコニコ笑ってばかりで、本当の気持ちなんてこれっぽっちも見せてくれないんだ」
「いつだって誰にも何も言わずに一人で背負い込んで一人で決めて、一人で笑って行ってしまうんだ。カッコつけるのはもうやめてください。辛い事があるならちゃんと僕らに言ってください」
新八は真っ直ぐ姉を見て、ここに集まった者たちを思い返す。
片腕を折られても戦う神楽
お妙を想うが故にケツを捨ててでも護り抜こうとする近藤
その近藤に付き従い田舎剣法の意地を見せる沖田と土方
本当はお妙が本心から笑うためにと動いているのに、九兵衛と決着をつける為だと口実を付けてまで参加するAと戦
「一人だなんて言わせませんよ。だって皆、姉上の泣き顔だけを理由に、ここに集まってくれたんだから。そんなことあの人達は死んでも言わないでしょうけど」
でも、と新八は言葉を続けた
「姉上が泣けば、同じく哀しく思う人がいる事、覚えておいてください……姉上がAさんに抱くものと同じように」
「……」
煉獄関の一件でAがボロボロになったとき、それでも彼女が一人で笑って無理をしていた時
お妙は自分のことのように胸を裂かれる思いをしていた。
新八はそんなお妙の気持ちを知っていた。
好きな相手なら、笑わせてみせろ 二→←親しい相手にも恥じらいは持て 六 終 ※下ネタ注意
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» あけましておめでとうございます!10個目でも見に来てくださって本当に嬉しいです。ありがとうございます! (2023年1月6日 4時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - あけましておめでとうございます。そしてシリーズ数二桁突入おめでとうございます。今年もぜひ、夢主ちゃんとお兄様の活躍と銀魂キャラたちの奮闘を拝見させてください! (2023年1月2日 10時) (レス) id: 503469204d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年1月1日 3時