誰もが誰かを想ってる 三 ページ35
お妙は伏し目がちに口を開いた。
「……ごめん、なさい」
「謝る必要なんてねーよ。誰も。みんな自分の護りたいもの護ろうとしただけ……ただそれだけだ」
銀時は背を向けて歩いていく。
しかし、すぐに足を止めた。
ハァーと大きくため息をつき、振り返って九兵衛に視線を向ける。
「お前……自分には正直になれよ。そこにあるのはお前の人生なんだ。アイツなら、テメーが押し潰したテメーの気持ちも受け入れるだろーよ……実るかどうかは知らねェが」
銀時は再び前を向いてガシガシと頭を掻く。
「次はもう言わねーぞ。敵が増えるようなマネは御免だからな」
銀時は新八たちの方へ歩いて行った。
砂利を踏み締める足音が聞こえて、倒れている九兵衛の視線にAの顔が覗いた。
「……負けた。君はやっぱり強い。僕は追いつけないか」
「そんなことはないと思うけど……ねえ、九兵衛君」
名を呼んでAはしゃがみ九兵衛を見つめる。
「君は一人じゃない。強い人間には誰かを護るために強くなることだけじゃなくて、誰かに護られる自分であることも必要なことなんだよ」
微笑むAから目を離さず、九兵衛は少し眉を寄せた。
「……たい」
「え?」
「僕は、君になりたい」
Aはそう思われているのかもしれないと予想はしていたが、実際言われるとは思っていず驚いていた。
「僕は、君のようになりたかった」
「君のように、強くて優しくて、弱さもあって……女にも男にもなり得る君が羨ましくて、憎かった」
Aは何も言わず、静かに九兵衛の気持ちを聞いていた
「僕もホントは……皆と一緒にままごとやあやとりしたかった。皆みたいに綺麗な着物で町を歩きたかった」
彼女の思いを聞いて、Aは柔らかい表情で口を開く
「それって、今からでも遅くはないかな?」
「え……」
「九兵衛。今度一緒に、デパートに服見に行かない?神楽ちゃんも誘って、お妙ちゃんと四人で女子会しよっ。可愛いのいっぱい見つけよっ?」
「私、ずっと九兵衛と一緒にショッピングしたかったんだー。九兵衛は?」
Aは笑って九兵衛に尋ねた
九兵衛は目を見開いて、瞳を揺らす
「ッ……ぼ……わ、たしも」
少しずつ顔が熱くなり、頰に赤みが帯びていく
「Aと一緒に、出かけたい」
目の前の笑顔に、九兵衛の心臓は高鳴っていた。
「じゃあ、約束ねっ」
「ーーうん」
Aが九兵衛の前に小指を出し、九兵衛はそれに小指を絡ませた。
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» あけましておめでとうございます!10個目でも見に来てくださって本当に嬉しいです。ありがとうございます! (2023年1月6日 4時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - あけましておめでとうございます。そしてシリーズ数二桁突入おめでとうございます。今年もぜひ、夢主ちゃんとお兄様の活躍と銀魂キャラたちの奮闘を拝見させてください! (2023年1月2日 10時) (レス) id: 503469204d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年1月1日 3時