第一印象がいい奴にロクな奴はいない 六 ページ49
「そういや、墓でアンタと会った時のことあの子に話したよ。そしたらあの子――」
『ふふっ、銀ちゃんらしいですね……なら私は、お登勢さんを護る銀ちゃんを護ります』
『ふっ。アンタなら守られる側な気がするけどねェ』
お登勢が言った言葉にAはうつむいた。
『……昔も、そうでした。だから、強くならなきゃいけないんです。もう二度と、先生のような、大事な人を失いたくないんです。強くなったら、「あの人たち」のそばに立って、守ることができるから――』
「あの子、泣きそうな顔してたよ。アンタ昔あの子に何したんだい」
だいたいは想像できるが、お登勢はタバコをふかしながら銀時に問う。
問われた彼は、Aがお登勢に言った言葉に驚いていて。
「……ちげェんだよ」
銀時は伏し目がちに、ぼそっとつぶやく。
「俺たちはただ、アイツを危険に巻き込みたくなかっただけだ」
「……だろうね」
お登勢は活気の落ちた声で返す銀時へ、視線は向けず落ち着いた声で返した。
「でもそれは、あの子にとっては一番最悪の選択肢だったんだろうねェ」
ーー銀ちゃん離して！ 私は戦えるから！
ーーどうして！ 私が弱いからダメなのっ！？
必死に泣きついた大切な子が
ーーそっ、か。先生は、死んじゃったんだ……
大事な人をその手で守れなかった。
「その結果、大事な女が泣いてちゃ世話ないねェ」
ふぅ、とタバコの煙を吐く。
一拍して、お登勢は口を開いた。
「銀時。あの子は強いのかい」
「……ああ」
銀時はその質問がきたら肯定せざるを得なかった。
「俺らがいなくたって、戦いに負けることはないくらいにな。だが、それを認めたくはねェ。認めちまったら、アイツは危険に足を突っ込んじまう」
「ほんと大事にしてんだねェ。でもアンタ、あの子を守るって決めてんだろ？」
「ああ」
「なら、あの子を本人の思いから遠ざけるんじゃなくて戦いに出るあの子を守りな。そうじゃなきゃ、守ってたってあの子の笑顔は咲かないよ」
「ちっ……言われなくたってわーってるよ」
Aはそういう性格の子だ。
花のように守って閉じ込めたって、あの子の幸せにはならない。
ーーわかってたはずなのにな。
「ババァ」
「なんだい」
銀時が呼ぶが、お登勢はそちらを見ない。
彼もそのまま彼女を見ず、ポツリと言葉を吐いた。
「……ありがとよ」
短い言葉に、お登勢はふっと笑みをこぼした。
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刹那＊桜(プロフ) - きゃすみさん» 返信遅くなってしまってすみません！！コメントありがとうございます！ (5月14日 14時) (
レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
きゃすみ(プロフ) - もう少し行あけると読みやすいです。でもめっちゃ面白かったです！！ (2022年10月10日 13時) (レス) @page3 id: e6f2b24efc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：刹那＊桜 | 作成日時：2021年2月13日 8時
