「銀ちゃん」 ページ24
昔、馴染んでた呼び名ってのは、さん付けに戻されるとかなり違和感があるらしい。
――坂田さん、擁護のしようがないんですけど。
――何やってるの坂田さん……。
Aの声が頭から離れない。
「坂田さん」
ほら、まただ。また頭に浮かんでくる。
「坂田さん！」
うるせーなァ。俺はその呼び方より
「坂田さんってば！！」
ポンッと後ろから軽く背中を叩かれた。
振り返ればAがそこにいた。
さっき海に落ちて濡れた着物から、乾いた服に着替えている。
「あ、ああ。おう……」
「どうしたの？ なんか様子、変だけど」
Aは浜辺に座る俺の隣に腰を下ろし、首を傾げて尋ねてきた。
どうしたのって、お前が原因なんだけどな。
コイツ、前までは俺のこと『銀ちゃん』って呼んでたのにな。
同い年だからタメ口のくせに、久々にあったら呼び名だけは、さん付けで。
「お前、俺と距離おこうとしてんの」
「え……ど、どして？ 別に私は坂田さんのこと」
「それ」
「えっ」
「その呼び方。なんっつーか、よそよそしいというかねェ」
Aは黙ってしまった。
かと思えば、くすっと笑い出す。
「な、なんだよ」
「ふふっ、ごめんね。その……何年ぶりか、久しぶり過ぎて、どう呼んでいいのか分からなくて」
そういえば戦は攘夷戦争で共闘したが、コイツとは攘夷戦争前から会っていない。
何十年ぶりくらいか。
「ごめんね、銀ちゃん」
「……やっぱ、その呼び方がしっくりくるわ」
「ちょっ、銀ちゃん」
ちょうど良いところの高さにあるAの頭を荒く撫でる。
Aは照れくさそうに手を押さえてきた。
「ほんと、変わらねェな」
「……銀ちゃんこそっ」
コイツ、今も昔も絶対自分のことには鈍感だろ。
戦もいるし、つーかなんか新一君もAを気にしてる風だったよな。
「先が思いやられるわ」
「え、何が？」
「お前がバカだから」
「何それひどいー！」
Aが恨めしそうに下から睨んできたから、とりあえず頬を引っ張っておいた。
ペットは飼い主が責任を持って最後まで面倒を見ましょう 一→←天然パーマに悪い奴はいない 十四 終
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刹那＊桜(プロフ) - きゃすみさん» 返信遅くなってしまってすみません！！コメントありがとうございます！ (5月14日 14時) (
レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
きゃすみ(プロフ) - もう少し行あけると読みやすいです。でもめっちゃ面白かったです！！ (2022年10月10日 13時) (レス) @page3 id: e6f2b24efc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：刹那＊桜 | 作成日時：2021年2月13日 8時
