天然パーマに悪い奴はいない十三 ページ22
「痴話喧嘩してる場合か!!」
新八がツッコミを入れ、脱出ポットを探して、ある一室に入った。
「んだ、ココ!? 動力室!?」
「いきどまりや追いかけっこはしまいやでェ」
天人たちが追いつき、キノコ髪の天人が鼻血を出しながら銃を突きつける。
銀時はAを背中から降ろし、後ろに隠す。
「哀れやの〜。昔は国を守護する剣だった侍が、今では娘っ子護ることもでけへん鈍や。おたくらに護れるもんなんてもうなんもないで。この国も……空もわしら天人のもんやさかい」
「国だ空だァ? くれてやるよんなもん。こちとら目の前のもん護るのに手一杯だ。それでさえ護りきれずによォ。今まで幾つ取り零してきたかしれねェ」
「……」
銀時の言葉に戦は暗い顔をする。
「俺にはもうなんもねーがよォ。せめて目の前で落ちてるもんがあるなら。拾ってやりてェのさ」
銀時は凛とした目で、しっかり言いきった。
その言葉に、後ろにいたAは顔を綻ばせる。
「しみったれた武士道やの〜。もうお前はエエわ……去ねや」
「ちょっ、あきまへんて社長! アレに弾あたったらどないするんですか。船もろとも、おっ死にますよ!」
キノコ髪の天人が銃を構えるが、部下が慌てて止めに入った。この部屋には、管のついた大きな球状の機械があった。
どうやらそこは、それがこの船の心臓らしい。
「よいしょっ、よいしょっ」
銀時はそれを知っているのかいないのか、その核の機械に登っていた。
「登っちゃってるよアイツ!!」
キノコ髪の天人は銀時を見て焦りだす。
銀時は登りきると、木刀を機械にあてがった。
「ちょ、待ちィィ! アカンでそれ、この船の心臓……」
「客の大事なもんは俺の大事なもんでもある。そいつを護るためなら俺ぁなんでもやるぜ!!」
銀時は足を引き構えて叫び、船の核を刀で叩きつけた。
「きいやァァァァァ!!」
「ホンマにやりおったァァ!!」
天人たちが叫び声を上げ、ゴゴゴゴと重い音を立てて船が傾き下へ落ちていく。
「何この浮遊感気持ち悪っ!!」
「落ちてんの、コレ!? 落ちてんの!?」
船内にいる者たちは皆、浮遊して降下し、銀時は口元に手を当てながら片腕でAを抱き止める。
Aは落下の感覚が怖くて銀時にしがみついていた。
「ぎ、銀さんっ」
「っ……Aっ、くっつきすぎっ」
銀時は彼女の胸が当たって顔を赤くし慌てて目をそらす。
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刹那*桜(プロフ) - きゃすみさん» 返信遅くなってしまってすみません!!コメントありがとうございます! (5月14日 14時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
きゃすみ(プロフ) - もう少し行あけると読みやすいです。でもめっちゃ面白かったです!! (2022年10月10日 13時) (レス) @page3 id: e6f2b24efc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2021年2月13日 8時