天然パーマに悪い奴はいない 九 ページ18
「んだよチキショー! バカ姉貴がよォォ!」
新八は庭で素振りしながら大声を上げて怒りを発散させていた。
「父ちゃん父ちゃんってあのハゲが何してくれたってよ。たまにオセロやってくれたぐらいじゃねーか!」
「父ちゃんハゲてたのか」
銀時は居間でホールケーキを作っていた。
「いや精神的にハゲて、ってアンタまだいたんですか! しかも人んちでなに本格的なクッキングに挑戦してんの!」
「いや定期的に甘いもの食わねーとダメなんだ俺」
「だったらもっと手軽なものつくれや!!」
「そういや、さっきのキノコ髪の奴も、ヅラじゃなかったんだな。お、ケーキうまそうじゃん」
奥の方から歩いてきた戦は、切り分けたメロンを食べながらモシャモシャと喋っていた。
「アンタもいたのかよ! ていうかそれウチの冷蔵庫から取ってきたメロンだろ!」
「いやほら、メロンって美味しいじゃん?」
「言い訳になってねぇよ!」
新八は庭から居間に行き、銀時や戦と共にテーブル前に座る。
「……ねーちゃん追わなくていいのか」
「……知らないっスよ自分で決めて行ったんだから。二人もAさん心配じゃないんですか」
自分たちが巻き込んだ手前だが、新八は銀時たちが落ち着いているのを見て怪訝そうにする。
「まあAは強いしな」
「えっ、そうなんですか?」
「だが今回はオメーの姉貴もいるし相手は天人だ。Aが動くかは状況によるだろうな」
単独ならどれだけ暴れても自分にしか責任は行かない。しかし今はお妙がそばにいる。
新八は言葉に詰まってうつむいてしまい、戦は小さくため息をつく。
「にしても、姉上もやっぱ父上の娘だな。父上も義理だの人情だのそんな事ばっか言ってるお人好しで。そこをつけこまれて友人に借金しょいこまされてのたれ死んだ。どうしてあんなにみんな不器用なのかな。僕はキレイ事並べてのたれ死ぬのは御免ですよ」
父親と先ほどの姉の言葉を思い出し、新八は呟いた。
「今の時代そんなのもってたって邪魔なだけだ。僕はもっと器用に生きのびてやる」
「そーかい。でも俺にはとても、お前が器用になんて見えねーけどな」
目に涙をためてうつむく新八を見て、銀時は立ち上がった。
「侍が動くのに理屈なんていらねーさ」
銀時が話す中、戦は何も言わず気怠そうにメロンを食べ終え立ち上がる。
「そこに護りてェもんがあるなら剣を抜きゃいい。姉ちゃんは好きか?」
銀時の問いに新八は涙をこぼしながら小さく頷いた。
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刹那*桜(プロフ) - きゃすみさん» 返信遅くなってしまってすみません!!コメントありがとうございます! (5月14日 14時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
きゃすみ(プロフ) - もう少し行あけると読みやすいです。でもめっちゃ面白かったです!! (2022年10月10日 13時) (レス) @page3 id: e6f2b24efc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2021年2月13日 8時