天然パーマに悪い奴はいない 四 ページ13
「いやあのホント……スンマセンでした」
恒道館道場で、銀時は左頬を腫らして鼻から血を流し正座していた。銀時の前にはメガネの少年と、鞘に収めた刀を持つ彼の姉が立っている。少し離れたところでAが座っていた。
「ごめんなさい、弟さんにあらぬ誤解を……」
「Aさんは謝らないで。新ちゃんを助けてくれたみたいだから……」
「そうですよっ。貴女の助けがなかったらどうなってたことか!」
一通り自己紹介を終えたが、Aは終始申し訳なさそうにしていた。
「俺もあの、登場シーンだったんで、ちょっとはしゃいでたっていうか……調子に乗ってましたスンマセンでした」
「ゴメンですんだらこの世に切腹なんて存在しないわ。ウチの道場も廃刀令のあおりで門下生は全て去り今では姉弟二人でバイトしてなんとか形だけ取り繕ってる状態で」
お妙は暗い顔で現状を声にし、しんみりとした空気が流れる。
「それでも父の遺していったこの道場護ろうと今まで二人で必死に頑張ってきたのに……お前のせいで全部パーじゃボケェェ!!」
「ぎゃああ! お妙さん!」
「おちつけェェ姉上!!」
お妙が刀で銀時に斬りかかろうとしてAと新八が慌てて止めに入る。
「新八君! 君のお姉さんゴリラにでも育てられたの!! 待て、待て待ておちつけェ!! 切腹はできねーが俺だって尻ぐらいもつってホラ」
銀時は身を縮めながらも、懐から何かを取り出してお妙に見せた。彼女はそれを受け取り不思議そうにする。
「なにコレ? 名刺……万事屋坂田銀時?」
「万事屋って、なんでも屋ってこと?」
Aもお妙の横から名刺を覗いて確認するように銀時を見る。彼は立ち上がってポンポンと服の汚れを払っていた。
「そういうこった。この俺、万事屋銀さんがなんか困った事あったらなんでも解決してや……」
「だーからお前に困らされてんだろーが!!」
「仕事紹介しろ仕事!!」
銀時の言葉を遮って、新八とお妙は銀時を蹴り倒した。
「落ち着けェ!! 仕事は紹介できねーが!! バイトの面接の時緊張しないお呪いなら教えてや……」
「いらんわァァ!!」
銀時を蹴る音が道場に響く中、Aは困ったように苦笑いを浮かべていた。
「坂田さん、擁護のしようがないんですけど」
Aが銀時の名を呼ぶと、彼は眉を寄せる。
「お前その呼び方……ぶべらぁ!?」
しかしその途中で道場の上から何かが天井を突き破って飛んできて、銀時に飛び蹴りを食らわせた。
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刹那*桜(プロフ) - きゃすみさん» 返信遅くなってしまってすみません!!コメントありがとうございます! (5月14日 14時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
きゃすみ(プロフ) - もう少し行あけると読みやすいです。でもめっちゃ面白かったです!! (2022年10月10日 13時) (レス) @page3 id: e6f2b24efc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2021年2月13日 8時