噂のバレーバカとはこの人の事です

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No side



第一セットの最後、サーブは烏野だった

このボールにワンセットを取れるかどうかが懸かっている


そんなボールを任された日向は内心不安と緊張でいっぱいだ




試合の前にAに緊張を解してもらったとはいえこれとそれは別


コートから下げられることがないとはいえ、


失敗したら残りの二セットを取ることが必須となってしまう

間違いが出来ないという怖さが日向に纏わりつく




もうどうにでもなれ、と思って打ったボールは影山の後頭部に激突した

日「あっ！」



周りの人は一瞬固まった後、腹を抱えて笑いはじめた

Aもまさかこうなるとは思わず、クスクスと上品に笑う




ただ、影山の周りの空気だけが言葉では言い表せないほど重かった

影「おい、日向」



いつもより二オクターブくらい低い、君は闇の帝王かと言ってしまいそうになる声で

日向を呼んだ



日向はビクッと肩を震わせてギギギと

油を差していない錆びついたブリキのような動きで影山の方を振り変える




影「今の俺以上に怖いものあるか？」

後頭部を片手で叩きながらヤンキーのような態度で聞く



日「いえ、ないです」

影「なら、さっきのサーブ、全然怖くないよな」


にっこりと効果音が付きそうな目が笑っていない笑顔で、疑問符を付けずに問う

日向はあまりの怖さに首がもげてしまいそうな勢いで影山を肯定した




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