第52話 ページ5
『任務中の全隊員に警告！』
それは風間隊オペレーターの三上の声。
彼女にしては珍しい、焦るような声を聞いて、三輪はヘッドフォンに集中する。
告げられたのは、三輪も予想だにしなかった最悪の事態だった。
『玉狛支部の屋上に、黒トリガーの反応を確認！！』
「はぁ！？マジかよ！？」
放棄された住宅街の真ん中で、嵐山隊を追っていたことも忘れて出水が素っ頓狂な声を上げた。
それに対して三輪はいつもの顰めっ面で「静かにしろ」と出水を諌める。
「ちぇー」と口を窄めていじけたふりをしている出水を尻目に、三輪は隊の通信を繋げた。
接続した先は、三輪隊オペレーターの月見蓮。
「月見さん、その黒トリガーは“目標”の黒トリガーですか」
淡々とそう問う三輪にしばしの時間を置いて、月見が答える。
『・・・残念ながら違うみたいね。でも、三輪くんもよく知っている黒トリガーよ』
含みを持たせてもったいぶる月見に、急かすように再度三輪が問う。
「その黒トリガーの反応は・・・いや、黒トリガーの所有者は？」
月見はまるで三輪に心の準備をさせるように一拍置いてから、口を開いた。
『・・・トリガー反応は“宵凪(ヨイナギ)”。所有者はもちろん・・・』
黒トリガーの名前を聞いただけで、三輪は全てを理解したような気がした。
やはり、あの人と自分は分かり合えないのだ。
少しでも期待していた自分があまりにも滑稽に思えて、自然と自嘲的な笑みが零れる。
隣にいる出水には悟られまいと、三輪は気持ちを切り替えて戦闘に意識を投じた。
もういい。もう・・・いいんだ。
諦めにも似たその感情が、三輪の闘争心と復讐心に火をつける。
始めは小さなものだったそれはあっという間に燃え広がり、彼の身を焦がした。
「出水」
「・・・はいはい？」
唐突に名を呼ばれた出水は呑気な声でそう返す。
そんな大らかな態度の出水とは裏腹に、三輪は切羽詰まったような声音で言葉を続けた。
「・・・嵐山隊を片付けるぞ」
「OKOK。速攻で倒して太刀川さんたちに加勢しなきゃだからな」
ニヤリと悪い笑みを浮かべて嵐山たちが潜むほうへと視線を向ける出水。
それは決して、正義の味方がするような表情ではなかった。・・・むしろ悪役と言うべきか。
ともかく、迅たちの戦いの裏で、傍から見れば正義vs悪役の熾烈な戦いが静かに幕を開けた。
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
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シロナ(プロフ) - 世界さん» 温かい応援をありがとうございます！世界さんが楽しんでいただけたのなら幸いです。できる限り更新のほうも善処しますので、これからもよろしくお願いいたします。 (2016年6月6日 22時) (
レス) id: 16408a5fe0 (このIDを非表示/違反報告)
世界 - とても面白いです（≧∇≦）更新頑張ってください。 (2016年6月6日 18時) (レス) id: 5b7a28e31b (このIDを非表示/違反報告)
シロナ(プロフ) - 銀河さん» 温かい応援ありがとうございます！銀河さんのご期待に沿えるように、精一杯更新していこうと思います。私事により更新ペースはかなり遅いですが、よろしければ気長にお待ちいただけると嬉しいです。 (2016年1月19日 20時) (レス) id: 16408a5fe0 (このIDを非表示/違反報告)
銀河 - とても面白かったです！シロナsが書く文章がとても読みやすかったです。頑張ってくださいね。 (2016年1月17日 7時) (レス) id: 550193059d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シロナ | 作成日時：2015年10月23日 23時
