第68話 ページ23
三雲修は困惑していた。
それはもう、リビングの入り口で立ちつくし、冷や汗を流すほどに。
「おっ。おはようオサム。レイジさんの作った“ふれんちとーすと”、うまいぞ」
修が来たことに気づいた遊真が、もぐもぐと口を動かしながらそう言う。
彼が座っているのは、リビングに置いてある大きくて質素な食卓。
「おはようメガネくん。朝ご飯まだだろ？」
手招きで食卓へと修を誘う迅の前には、空になったプレートが置いてある。
キッチンの奥で洗い物をしている木崎は、まだ修が来たことに気づいていないようだ。
ここまでは、修が朝早く来た時によく見るいつもの光景。
しかし、今日はその光景に決定的な違いがあった。
「ん・・・あぁ、おはよう三雲くん。早いんだね」
「おはようございます・・・じゃなくて、えっ・・・Aさん・・・！？」
私服っぽい恰好のAが、紅茶を啜りながら眠たげな声で修に挨拶をする。
驚きながらも挨拶のほうが先に出てくるのが何とも修らしい。
そんな修の顔に浮かんだ「何故・・・！？」という表情は的確に迅に汲み取られ、
目で合図されたAは昨日から数えて4回目の説明をした。
「最近いろいろあったからさ、休暇を貰うことにしたんだよ。
期間で言うと・・・三週間くらいかな？それまでの間、お世話になるね」
にっこりと笑うAに対し、修は「こ、こちらこそ！」と訳の分からない返事をする。
「Aちゃんは本部の中でも相当な手練れだからな。
戦術にも結構強いし、メガネくんたちのいい練習相手になるんじゃないか？」
何が視えているのか分からないが、にやけた顔の迅に、紅茶を啜っていたAが頷く。
「そうだね。正式入隊日まであと三週間・・・もないか。
遊真くんや千佳ちゃんには派手に本部デビューしてもらわないと面白くないし、
もちろん三雲くんにだってもっと強くなってもらいたい」
そこまで言うとAは、持っていたティーカップを静かに食卓の上に置いた。
そして、先程浮かべたものとは違う笑みでこう続ける。
「・・・いずれ来る“戦い”に備える為にも、ね」
カップの中に残された紅い液体は、凪いだように静かだった。
続く (更新停止中)
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シロナ(プロフ) - 世界さん» 温かい応援をありがとうございます！世界さんが楽しんでいただけたのなら幸いです。できる限り更新のほうも善処しますので、これからもよろしくお願いいたします。 (2016年6月6日 22時) (
レス) id: 16408a5fe0 (このIDを非表示/違反報告)
世界 - とても面白いです（≧∇≦）更新頑張ってください。 (2016年6月6日 18時) (レス) id: 5b7a28e31b (このIDを非表示/違反報告)
シロナ(プロフ) - 銀河さん» 温かい応援ありがとうございます！銀河さんのご期待に沿えるように、精一杯更新していこうと思います。私事により更新ペースはかなり遅いですが、よろしければ気長にお待ちいただけると嬉しいです。 (2016年1月19日 20時) (レス) id: 16408a5fe0 (このIDを非表示/違反報告)
銀河 - とても面白かったです！シロナsが書く文章がとても読みやすかったです。頑張ってくださいね。 (2016年1月17日 7時) (レス) id: 550193059d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シロナ | 作成日時：2015年10月23日 23時
