『ワールドトリガー』私の彼氏は黒トリガー (ページ40)

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第38話ページ40

「ポリシー・・・だと？」

「えぇ、ポリシーです」

濁った赤に強い光を宿したその瞳を、鬼怒田から城戸司令へと向け直す。

城戸司令は再び呆れたようにため息をつき、重たい口を開いた。

「“黒トリガーはあるべき者のところへ”・・・だったな」

さすが城戸司令。Aは小さく頷いた。

「そうです。黒トリガーはあるべき者のところへ。それが私のポリシー・・・持論です。

　城戸司令にとってはただの黒トリガーでも、持ち主にとっては命より大切な物。

　それを奪って、持ち主まで殺す？笑わせないでください」

その言葉は黒トリガーの所有者であるAだからこそ、より真剣味を帯びていた。

「私はその黒トリガーの所有者に会ったことがあります。もちろん話もしました。

　・・・彼はとてもいい子です。ボーダーに牙を剥くとは到底思えません」

鬼怒田が何か言いたげな顔をしていたが、Aは視線もくれずに話を続ける。

「それでも彼に刺客を差し向けるというのならば・・・それは私との衝突に繋がりますよ」

鋭い光を帯びた目をさらに鋭く細め、Aは城戸司令を睨みつけた。

城戸司令は表情ひとつ変えず、冷たい声音でAに返す。

「その言い草・・・私を脅しているつもりか」

「滅相もない。ただ、そういう可能性もあると忠告しているまでです」

「・・・なるほど、参考にしよう」

「良かった。では、失礼します」

ニコリと愛想笑いを浮かべた後、Aは踵を返して会議室を後にした。

「(これでもう特殊任務部隊は動かない・・・さて、この先あいつなら・・・迅ならどう出る？)」

遠征部隊の帰還は三日後。それまでに何とか対策を練らねば。

Aは自分の矜持と持論を守るため、本部長室へと歩を進めた。