検索窓
今日:5 hit、昨日:7 hit、合計:46,219 hit

第35話 ページ37

「なー秀次ー、頼むからさー」


「断る」


「いや、ホントこの通りだから!マジ頼むから!」


「駄目なものは駄目だ」


「俺今日当たるんだよ!だからマジで頼む!課題写さして!」


両手を合わせて三輪に懇願する米屋。


その様子を見て三輪はあからさまに眉を顰め、不機嫌そうな声音でぴしゃりと返した。


「自業自得だ。課題をやってこないお前が悪い」


「そんなこと言わずにさー、秀次ー・・・」


作戦を変更したのか、捨てられた子犬のような目でアピールする米屋。


しかし三輪はそんなもの通用しないと言わんばかりに、小説を開いて読み始めてしまった。


そんな状況の最中、米屋にとっての新たな救世主が教室に入ってくる。


「おはよー・・・って、どうしたの米屋くん・・・?」


「おっ、ちょうどいいところに!頼む、篠原!英語の課題写させてくれ!」


「え、いいけど・・・」


登校早々クラスメイトに頭を下げられた環は、困惑ぎみに頷いた。


米屋はその返答に「よっしゃぁ!」とガッツポーズし、何故か三輪にドヤ顔を送る。


小説から視線を外してこちらの様子を見ていた三輪は、他人に聞こえないように舌打ちをした。


教室の窓際の列の前から三番目。環はそこに鞄を置き、ごそごそと英語のノートを探す。


「あ、あった。・・・はいこれ。今度はちゃんとやってきてね」


「おう、サンキュー・・・って、お前」


「・・・ん?何?」


ノートを受け取る際に今日初めて環の顔をまじまじと見た米屋が、やや心配そうに言う。


「ヤバくね?その目のクマ」


「あぁ・・・」


困り顔でクマのある位置を指でなぞり、環はへら、と笑った。


「昨日、ちょっと寝つきが悪くてさ。・・・あんまり寝られてないんだ」


「大丈夫かよ。今日体育あるぞ?」


「うん・・・たぶん平気。無理はしないから、心配ないよ」


疲れたように笑う環の顔。


思えばここで、気絶させるなり何なりして寝かしておいた方が良かったのかもしれない。


環は学校にいる間は絶対に寝ない。それが昼でも休み時間であっても、絶対にだ。


「変に真面目過ぎんだよ、お前は・・・」


四限目の体育の授業中、寝不足と貧血で倒れた環を介抱しながら、米屋は恨み言のように呟いた。

第36話→←第34話


ラッキーアイテム

革ベルト

ラッキーナンバー

8

ラッキー方角

西 - この方角に福があるはずです


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (26 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
47人がお気に入り
設定タグ:ワールドトリガー , 迅悠一   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:シロナ | 作成日時:2015年7月20日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。