『ワールドトリガー』私の彼氏は黒トリガー (ページ28)

今日:7 hit、昨日:3 hit、合計:46,214 hit

第26話ページ28

暫くして、警戒区域付近で五人が合流する。

「オサム、えらい人にしかられた？」

「いや・・・まぁ叱られたけど。処分はひとまず保留になった」

「おーそりゃよかった。一安心だな」

目を漢数字の三の形にして、遊真は呑気にそう言った。

それに対して修はまだ安心できない、と遊真に釘を刺す。

「ボーダーがおまえのトリガーを狙ってくる可能性があるんだ」

「可能性・・・というか、絶対に狙ってくるだろうね」

城戸司令ならやりかねない。Aはそう言いたげに腕組みをした。

「ほう？」

遊真はまるで構わないというような素振りで首を傾げる。

きっと、いくら刺客を差し向けられても一人で撃退するつもりでいるのだろう。

その為の力が、今の遊真には備わっているのだ。

先程の三輪隊のように、A級部隊単体では簡単に蹴散らされてしまう。

ならば城戸司令は、黒トリガー奪取に誰を寄越すか・・・

「(黒トリガーには黒トリガー、とか・・・？)」

そう思い至ってちらりと迅を見る。

迅も視線を送られることを察知していたのか、小さく首を横に振った。

その動作の意味は、『おれは刺客になるのを断ってきた』。

確実に任務が横流しになるのを確信したAは、心の中で呆れたようにため息を吐いた。

「(やっぱ今回の任務説明って、この事だよなぁ・・・)」

一応仲良く(？)なったわけだし、正直あまり気が進まない。

正当な理由さえあれば、拒否することも可能ではある。

しかし再び考えてみると、目の前のこの少年は紛れもなく近界民なのだ。

一体どうやって、本部から近界民を庇う正当な理由を探すべきか。

迅が遊真にボーダー入隊の勧誘をしている傍で、Aは深く思考を巡らせていた。