『ワールドトリガー』私の彼氏は黒トリガー (ページ3)

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第2話ページ3

「大丈夫か？」

砂ぼこりのついた手をパンパンと払い、女性はぼくのほうを向いた。

「キミは・・・学生、だよね。その制服からすると、第三中学かな？」

「え・・・は、はい。そうですけど・・・」

「・・・時間、大丈夫？」

「あ・・・」

咄嗟にコンビニ横の時計を見る。

残り時間、あと3分。

「(ダメだ、間に合わない・・・)」

遅刻なんて人生初だ。先生に何て言われるだろう。

そう落ち込んでいると、女性はぼくに新しいヘルメットを被せた。

「間に合わないんだろ？ここで会ったのも何かの縁だ。送ってくよ」

女性の言動にびっくりして立ちつくしているうちに、女性はバイクに跨り、エンジンをかけた。

そして、はやくしないか、と言わんばかりに少し空けておいた座面をポンポンと叩く。

一瞬迷いはしたが、今から急いでも間に合わないし、ぼくは女性のご厚意に甘えることにした。

ぼくがバイクに乗ったのを確認した女性は、「しっかり掴まってろよ」とぼくに言ってから、

猛スピードでバイクを走らせ、暴走よろしく飛び出した。

警戒区域内を抜け、いつもの交差点を抜け、学校まで一直線。

「あっあの！す、スピード大丈夫なんですかこれ！？」

捕まりやしないかと心配になったぼくは、女性にそう尋ねた。

「心配するな！それよりキミが遅刻するほうが問題だろう？」

「どっちもどっちな気がしますけど・・・」

そうこう言っているうちに、あっという間に校門の前に着く。

所要時間、およそ1分30秒。速いなんてものじゃない。

学校の敷地内にバイクが入る訳にはいかないので、教室までは自分の足が頼りだ。

女性にヘルメットを返し、「ありがとうございました」と一礼する。

すると女性は笑いながら・・・フルフェイスなので本当は表情など読めないのだが・・・

「いや、私も楽しかったよ。じゃあな。“三雲君”」

と言って、またバイクを急発進させ、どこかへと消えていった。

「(・・・あれ？)」

上靴に履き替えながら、ぼくはさっきの会話について、首を傾げる。

「(あの人、さっきぼくのこと“三雲君”って・・・？)」

疑問には思ったが時間のほうが大事だったので、ぼくは教室まで全速力で走った。

結果は・・・まぁ、ギリギリ間に合った。