視線 ページ41
«「…はい、どちら様でしょうか。」»
出たのは、少し歳を召したような声の女性だった。声からして使用人だろう。
彼は、呼び鈴の応答口で声を出した。
「武装探偵社の太宰です。友人に逢いに来ました。」
«「…少々お待ちください」»
そう云うと、無機質な音が切れた。それを見計らい新人が包帯まみれに声を掛ける。
「大丈夫でしょうか…と云うか……入って粗相したら社会的な抹殺！」
「大丈夫だってば」
先程から同じことしか言っていない彼は、ここから先、その疲労で生きていけるのだろうか。疲労で死にそうだ。
«「確認が取れました。太宰様とそのお連れの方々、どうぞ本館へ」»
すると、大きな門が開く。鉄の擦れることが響き、その先には使用人が数人並んでこちらに頭を下げている。
「「ようこそいらっしゃいませ。」」
彼ら2人は少し呆然として、死にかけの顔で先を歩く包帯まみれの彼について行った。
「いらっしゃいませ。案内を務めさせていただきます、マリアと申します。失礼ですが、太宰様で宜しいですか？」
「そうです。Aさんに会いたいのですが…」
「存じ上げております。応接間でお待ちください、主様がいらっしゃいますので…それでは御案内致します。」
そう云って、歩き始めようとしたマリアを止める。そして、彼女は振り返り何か御用ですか？と聞き返す。
「マリアさん、少しお聞きしたいのですけれど…」
「はい、何卒。」
「Aさんは死亡したと聞いているのだけれど、どうなっているのかご存知ですか？」
そう云うと、マリアは一度息をのみ顔を俯かせて、もう一度頭を下げる。
「申し訳ございません。私の口からは申し上げることができません、ご了承ください。」
そう答えた彼女の表情は、少し暗かった。
目の奥が闇で染まるようにただひたすらに目を伏せていた。
「こちらでお待ちください」
そう云われた場所は、とても広い応接室だった。絵画があり、高級で清潔感のある椅子や家具の数々。部屋の内装を確認するように中を見回していると、マリアが入り口の扉をばたりと閉じた。
ここの世界は隔離されたのだ。
「先程から覗きかい？A」
終わり
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トカ - 続きが気になります！！ (3月13日 18時) (
レス) id: e74bb02192 (このIDを非表示/違反報告)
akira Ms(プロフ) - 続きか気になります！ (2021年10月26日 0時) (レス) @page41 id: 861ea02611 (このIDを非表示/違反報告)
リエ(プロフ) - 続きが気になります！！更新待ってます！！ (2020年8月17日 16時) (レス) id: b49ba01a8b (このIDを非表示/違反報告)
雪宮暦 - 完結してるんですか？ 続き気になっていますので、もし続いているのでしたら、更新待ってます！ 頑張ってください！(≧∇≦)/ (2019年10月22日 2時) (レス) id: 8bc008a5bb (このIDを非表示/違反報告)
さき - 完結お疲れ様でした。今までとても面白い作品をありがとうございました。いつかきっとまた貴女様の文章が読める日を待っています。 (2019年8月5日 22時) (レス) id: e215e85756 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：珈琲チョコ | 作成日時：2017年12月2日 23時
