ch.3 頑張りすぎた結果 ページ10
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坂田くんと、夜に色々話した日以降。
彼とは、たまに“夜のお散歩”に行くようになった。
いつもお馴染みの道を通って帰ることもあれば、
遠く(最寄り)のコンビニまで行ってアイスを買って食べてカロリー±0と笑ったりすることもあれば、
たまには…と違う道を選んで帰り道が分からなくなってしまうこともあったり。
生まれてからずっと住んでいる場所なのに、彼と一緒だと何処も新鮮に感じることが多くて、心も癒されたし、何より楽しかった。
そんなある日。
ここ最近は勤務先の科学館の方も盛況で、さらに次回の企画展示を主導で任されている事も重なり、かなり忙しくしていた。
元から忙しい坂田くんと都合を合わせるのも難しくなってしまって、散歩にもしばらく行けていなかった。
「A、大丈夫?ちょっと顔色悪いよ?」
事務室で昼ごはんを片手にPCに向かう私を、同僚の女子が私の顔を覗き込んで、心配そうに言った。
「そうかな…?いつも通りメイクしてるんだけど何処か失敗したかも、」
あはは、と笑い飛ばそうとしたのに、同僚は余計に心配そうな顔をした。
「忙しいのは分かるけど、私だって手伝えるし、ホント無理しないでよ?」
「うん、わかった、ありがとね」
小さな科学館だからスタッフも必要最低限しか居ない、この子だって色々抱えてて忙しいのに、気遣ってくれるなんて、逆に申し訳ない気持ちになる。
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作者名:しろ鮎 | 作成日時:2023年8月29日 20時