【skt】星が導く恋模様〜赤色と紡ぐ星座【usss】 (ページ26)

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ch.5 ふたりで紡ぐ星座ページ26

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翌日。
朝の検診を終えて、無事退院が決まった。

病室で荷物を纏めていると、コンコン、と扉がノックされる。

「はい！」と返事をすると、扉が開く。
そこから、看護服姿の坂田くんが、ひょこっと顔を出した。

「おはよ、A」

「あ、お、おはよ…」

昨夜の事を思い出して、顔が熱くなる。

そんな私の気持ちを見透かしたようにニヤリと笑うと、彼は私の方へ近づいてきた。

「よく眠れた？」

「えっ、あ、うん、まあ…」

いやいや、慣れない病室だし、昨夜の事があったのにゆっくり眠れたわけがない。
分かってるくせに、ニヤニヤしながら聞いてきた彼は、一通り眺めた後、私に向き直って言った。

「ちなみに俺はねー、寝れらんかった」

「えっ」

一瞬、心配が頭を駆け抜けたけど、そんなの無用だったことをすぐに思い知った。

「だって…こんな可愛い子が彼女になってくれたのに、そんなんもう寝れるわけないやん？」

照れたように笑ってそう言う坂田くんに、何も言えなくて、ますます顔が熱くなる。

坂田くんも自分の言った言葉が恥ずかしかったらしく、二人で無言になる。

自分の気持ちをどう表したら彼に伝わるのか、言葉にするのは恥ずかしくて、抱きつくなんてのも出来なくて。
俯いて、正面にいる彼の、看護服の裾をそっと摘んだ。

彼が息を呑むのが分かった。

そのまま、数秒。

コンコン、と、またノックの音がした。

ハッとして、返事をしようとした私の口を、彼が手で押さえた。